黒衣を狙いし紅の剣製 FINAL
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……あのなのはが綺麗にリンゴを剥けるようになってるなんてな」
俺の記憶が正しければ、魔法の訓練ばかりしていて家事スキルはほとんど身に付いていなかったのに。
まあ……ヴィヴィオの母親になったこの数年の間に、愛する娘のために精一杯努力したんだろうな。何度か料理とか教えてって言われたこともあるし。こうやって成長を間近で見ると……何というか感慨深いものがある。
「ショウくん……ショウくんは何でそんなにさらりと私にイラつくようなことを言えるのかな?」
「逆に聞くが……お前はどうして俺の言うことの大半をマイナスで受け取るんだ?」
「そう聞こえるような言い回しをしてるのはそっちだよね? 私に対して他の人よりも意地悪してる自覚ある?」
「意地悪しているという意味ではお前も俺に対してしてると思うんだが?」
心配を掛けたのは悪いとは思うが、そうツンケンした態度をしなくてもいいと思うのだが。それは俺だけだろうか……。
「あのね、パパもなのはママもどっちどっち。どっちが悪いじゃなくてどっちも悪いから」
「ヴィ、ヴィヴィオ……確かに私も悪いけど、ショウくんが意地悪なのはヴィヴィオも知ってるよね?」
「それはもちろん知ってるよ。一度はパパだって認めてくれたのに未だにパパって呼んだら一度は違うって否定してくるし」
そりゃあそうだろ。
その場の流れというのもあるが、正式になのはの娘になったんだから俺が認めてたら余計な誤解だって生まれるだろうし。
まあ今でも生まれる可能性は十分にあるわけだが。なのはは有名人だし、記者の中には好き勝手に記事を書く奴も居るだろうから。
ただそれでも、こういうことは少しでもリスクは下げておくべきことだ。俺はなのはと付き合って将来的に結婚する可能性が出てきたならパパ呼びを許しても問題はないが。
「だよねだよね」
「でも……私だってもうあの頃とは違うし、パパの言ってることも一理あるってことは分かってるから。それになのはママがパパに対して素直じゃないのも事実。家ではもっと……」
「ごめん、ごめんヴィヴィオ! 私が悪かったからそれまでにして!?」
なのはの立場からすれば止めるのは当然なのだろうが……自分に対して何か言っているわけだから気になりはする。必死になってヴィヴィオを止めるあたり、いったい何を言っているのだろう。
「なのは、お前いったい何……」
「何でもない!、何でもないから。あったとしてもヴィヴィオがショウくんと今度どこかに行きたい、みたいなそういう話だから。そんなことより、せっかくリンゴ剥いたのに食べないの勿体ないから食べて!」
あまりの必死さというか剣幕に触れないでおいたほうが良さそうなので、俺は大人しくベッドに置かれたリンゴの乗った皿を受け取ることにした。
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