第43話<決断>
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!」
背後で、また水柱。今度は火柱も立った。敵の潜水艦か特殊潜航艇に攻撃が命中したらしい。
「このままいくと……」
私は慌てて口をつぐんだ。
(あの深海棲艦(大井・仮)までやられてしまわないか?)
私の思いを察知したらしい日向は急に私の手を取った。
「司令……」
相変わらず淡々としているが、その眼差しは何かを懇願するように真剣だった。
「捕虜、あいつは敵です!」
彼女には私の気持ちが分かる反面、艦娘として許せない想いもあるだろう。
「司令の意図に反するようで申し訳ありません……が艦娘たちの想いは皆、同じはずです!」
もともと口数が少ない彼女だが絞り出すように訴える。
「しかし……」
私は何とか返したが日向は構わず続ける。
「この作戦は秘書艦が直接指示を出されています。でも……でも」
急に声のトーンが下がる。
かなり押さえているとはいえ、ここまで感情的になる日向は初めてだ。それでも私には、あの深海棲艦が気になるのだ。
「あの子は……」
私もようやく声が出た。
「沈めるべきではない」
その言葉に何かが外れたようになった日向の表情が変わった。
私は一瞬『しまった』と思った。いわゆる『地雷を踏んだ』という奴だ。
そのとき初めて目の前の艦娘から殺気を感じたのだ。それが日向だと、なおさら緊張感が漂う。
「司令!」
思い詰めたような彼女。
「……」
私は何も返せない。
次の瞬間、彼女が私に抱きついてきた。
「あ……」
変な話、私は死を覚悟した。丸腰とはいえ相手は艦娘だ。その腕力があれば、この場で私を絞め殺すくらい容易いだろう。
だが、私は絞め殺されなかった。
彼女はホンの少し丸みを帯びた身体で呟くように言った。
「司令が撤回命令を出されるなら私も咎めません……」
私の胸で、ふっと寂しそうな目をした日向。私はドキッとした。
やはり心の底では反抗するのか? ……本来、指揮官には絶対従順であるはずの艦娘だが生真面目な日向らしい一途さがあるな。
もちろん艦娘たちが敵を憎む気持ちも理解は出来る。これは戦争だ。最前線で戦う艦娘にとってはキレイごとではない。
相手は武力行使をしてきている。それに対して全力で立ち向かう艦娘たちが間違っているのではない。
敵は敵、まして個人的な思い込みによる同情は無用だ。むしろ可笑しいのは私の方だろう。
「追い詰めたよ!」
どうも指揮をしている神通さんよりも第六駆逐隊の方が目が血走っているようだ。
だが私は決断した。彼女の両肩に手を添えて改めてその顔を見ながら諭すように言った。
「日向、済まない。あいつは……見逃せ」
「……」
とても哀しそうな目をし
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