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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
351部分:第二十九話 郭嘉、鼻血を出すのことその二

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第二十九話 郭嘉、鼻血を出すのことその二

「私の居場所が」
「ついでに言えば名前もわかるわよ」
「獅子王さんね」
 二人はその名前も言ってきた。
「貴方もまたこの世界に来ていた」
「わかっていたわよ」
「そうか」
 それを聞いて静かに頷く獅子王だった。
「私のことをか」
「そうよ、それでだけれど」
「話は聞いていたわね」
「私の望みは頂点に立つこと」
 それだというのである。
「わかるな」
「よくわかるわよ」
「充分ね」
 こう返す二人であった。
「それじゃあいいわね」
「一緒に来るかしら」
「いいだろう」
 獅子王は幻十郎よりも素直であった。
「それでは私もだ」
「さて、どんどん同志が増えていくわね」
「そうね」
 二人はこのことを心から喜んでいた。
「まだ出て来るしね」
「そうした人達も仲間にしていきましょう」
「不幸な者達がいるな」
「全くだ」
 刀馬と幻十郎は二人の言葉を聞いてこう述べた。
「犠牲者が増えていくか」
「俺達もどうなるかだな」
「あら、私達は身も心もダーリンに捧げているから」
「貴方達の愛の告白は受けられないの」
 二人は至って平気であった。何を言われてもだ。
「御免なさいね」
「悪いけれど」
「別に悪いとは思っていない」
「気にするな」
 刀馬と幻十郎の返答は冷たい。
「何はともあれあの男を」
「斬る」
 二人が考えているのはこのことだけだった。だが彼等と貂蝉、そして卑弥呼の思惑は違っていた。だが二人はこのことには気付いていない。 
 そうしてである。命がここで貂蝉に問うた。
「あの」
「何かしら。そういえば」
「そういえば?」
「貴女以前ゼオラ=シュバイツァーと名乗っていたわね」
 こう命に返すのだった。
「そうだったわね。フェアリだったかしら」
「えっ、それは?」
「知らないのかしら、それは」
「あの、そう言われましても」
 首を傾げさせての返答だった。
「私は命ですから」
「そっちの世界での記憶はないのね」
「そうだったのね」
「私はこの世界に来たこともよくわからないのですが」
 首を傾げさせたまま話す。
「この世界は一体」
「すぐにわかるからね」
「それで貴女の役目は」
「刀馬様ですね」
 ここで彼を見るのだった。
「あの方を」
「そうよ、彼の氷を溶かすのはね」
「貴女なのよ」
 こう話すのである。
「だから。いいわね」
「貴女は彼を離したら駄目よ」
「はい」 
 命は今度はしっかりとした顔で頷いた。

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