第42話<波状攻撃>(改)
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狙いが外れて道路沿いの松林に入った敵の光線は容赦なく枝をなぎ払う。一部からは火の手が上がっている。
私は必死にハンドルを保持しながら走り続けた。
だが敵が海側(真横)から来ているので反対車線で逆走している私たちには都合が良かった。幹線道路の中央分離帯が、ちょうど敵機からの目隠しになって照準が僅かにズレている。何が幸いするか分からない。
しかし敵の攻撃パターンから、連中は捕虜の安全は全く考えていないように感じられた。
さっきはこいつを救出する艦隊を出したようにも思えたのだが……気のせいか。結局、こいつを救出するつもりは無いのか?
この執拗な攻撃は、この道路で深海棲鑑と私たち諸共消しし去るつもりだろうか? そんな印象もある。
日向が叫ぶ。
「司令、残弾僅かです!」
「そうか」
機銃の威力が相当あるとはいっても、日向もかなり撃ち続けている。お昼にタマの補充はしたが敵も波状攻撃を仕掛けてくる上に数も多い。
私は鎮守府周辺の地理を思い出す。
「鎮守府まで、あと僅か……弾はギリギリか?」
恐らくネックになるのは埋立地に入る交差点……減速する瞬間だ。
オマケに今は逆走しているから国道から埋立地へ曲がるためには逆走している車線分だけ減速する区間が長くなる。そこを狙われる可能性は高い。
「まずいな」
機銃のタマに余裕があれば、ある程度を行き過ぎてから応戦するという戦法も取れた。だが残弾が少ない今の状態で逃げ回るのは得策ではない。
「悩んでいる暇はないか」
もう交差点は間近だ。
無線からは、かなり苦しい声が入る。
「もぉお、ばかぁ……」
ガリガリ
「今のは夕立か?」
恐らく誰かに艤装を借りてでも戦っているのだろう。そういう根性だけはある子だ。
(でもムリするな夕立)
ジジジ
「大淀、沈みはし……」
ザザザザ
「まずい、大淀さん被弾か」
……かなりヤバそうだな。
ビリビリ
「この……がやられるなんて……」
ガーガー
日向も受信しているはずだが時おり応戦しつつも黙っている。まだ艦隊から轟沈という報告は無いが無線の雰囲気から切羽詰った状況だ。
各艦娘も気になるが一番心配なのは何も語らない寛代だ。もともと口数が少ない子であるが……無事なのか?
「まさか日本海に、そのままズリ落ちたりしないよな」
先に逝くなよ! 寛代。
無線からは断続的に叫び声が入る。
「……した! 直撃ではないが……」
ガガガ
「ヤバいな」
もうそろそろ限界か。これ以上、敵の攻撃を受けたら誰かが沈むのは時間の問題か?
私たちの車は、ついに鎮守府入口の交差点に来た。曲がり角は目の前だ。ハンドルを握
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