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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十七話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その7)
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が扱えるのか、足手まといになるのではないか、皆そう思っていた。
しかしモートン中将、カールセン中将はその不安を見事に払拭した。敵艦隊を壊滅させ味方の勝利を決定づけている。それに比べて私の第一艦隊は……、ボロディン提督も第一艦隊に足を引っ張られると頭を抱えているだろう。ボロディン提督だけではない、ウランフ、ビュコック、シトレ元帥も第一艦隊の不甲斐ない有様に顔を顰めているはずだ。そしてヴァレンシュタイン……、今回の作戦を台無しにしかねない我々に強い憤りを感じているに違いない。
シトレ元帥が司令長官に就任してから艦隊司令官に対する信賞必罰が厳しくなった。パストーレ中将はアルレスハイムの会戦で勝利を収めたにも関わらず更迭された。理由はアルレスハイムの会戦時の対応が不適切だったからだと言われている。
帝国軍がサイオキシン麻薬を使用していることにヴァレンシュタイン准将に指摘されるまで気付かなかった、また警察に知らせるなど後の混乱の原因を作った事が正規艦隊の司令官としては頼りないと見られた。
ムーア中将は言うまでもないだろう。ヴァンフリートの会戦において迷子になり決戦の場に間に合わなかった。ビュコック提督、ボロディン提督はヴァンフリート4=2で帝国軍と戦い勝利を収めたのだ。その二人に比べれば明らかに指揮能力に問題ありと判断されても仕方がない。
今回の会戦の勝利は明らかに総司令部の作戦と敵の後背を衝いたモートン中将、カールセン中将の働きによるものだ。当然だが彼らを抜擢したシトレ元帥の権威は今以上に上がるだろう。そして人事に対するシトレ元帥の意向は最優先で実現されるに違いない。
第一艦隊の司令官は首都ハイネセンを守る役割を担っている。能力、忠誠心において優れている人間だけが就ける司令官職だった。私もそう評価されていたはずだがおそらく今回の戦いが終われば更迭の対象となるだろう。そしてモートン、カールセンは昇進……、艦隊司令官達の間では戦慄が走るに違いない、評価されるのは実力で有って学歴ではないという事がより徹底される。士官学校卒業など何ほどの意味も無い事が証明されるだろう……。
「閣下、敵が後退しようとしています」
「食らい付け! 後退を許してはならん!」
ぼっとしている暇は無い! 今は戦闘の最中だ、何を考えている! この敵を逃がす事など絶対に許されない! せめてその程度は出来る事を証明しなければハイネセンに戻る事さえ出来ないだろう……。
帝国暦 486年 5月11日 12:00 イゼルローン回廊 ミューゼル艦隊旗艦 タンホイザー ラインハルト・フォン・ミューゼル
「遠征軍だけでなく駐留艦隊も反乱軍に包囲されたとなると帝国軍の殲滅は時間の問題ですな」
ケスラーの言葉に俺は黙って頷いた。帝国
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