第59話『第二のテスト』
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「それにしても結月ちゃん、数学が95点って凄いじゃない!」
「いやいや、ハルトが教えてくれたからだよー!」
「え、じゃあ何で俺の方が低いの?!」
学校からの帰路の途中、そんな話が起こっていた。
莉奈が結月を褒め、結月が晴登を褒め、晴登が莉奈を──ど、そこまではならないが。
結局、結月の数学の件は、彼女の最も集中した教科だからという結論に至った。
晴登の点数が良かったのも、大地曰く「人に教えたりすると、より定着するから」とのことだった。つまり、結月にずっと教えていたから、必然的に高くなったといえる。
というか、この理屈でいけば、大地の賢さも納得がいく。
「じゃあ、家庭教師とかやったら伸びるってことか」
「もう晴登は伸びなくていいよ」
「冷たいな!?」
「だって3位とか取ったら十分でしょ? もう死にたいでしょ?」
「そこまでないから!! どんだけ妬んでんの?!」
成績発表以降、莉奈の晴登への態度が冷たくなった。納得ができない訳ではないが・・・
「莉奈も同じようにすれば、きっと伸びるって」
「私みたいなバカに誰が教えられるのよ。むしろ、教えられる側だよ」
「それ言っちゃおしまいじゃん」
未だに少し温度差を感じながらも、晴登は「ところで」と違う話題を振った。
「最後に、先生が『来週も頑張ってください』って言ってたの覚えてるか?」
「あー言ったような言ってないような・・・」
「いや言ったけどさ。てことはさ、来週もテスト有るってことだよな?」
「そういうことになるだろうけど、どんなテストが来ると思う?」
莉奈は首を傾げて訊いてくる。正直、それこそ今から晴登が振ろうとしていた議題だ。
筆記試験が終わったことを鑑みるに、体育などの"実技試験"などが候補に上がる。しかし、最近は実技という実技はしてない訳であって、何が項目になるのかは皆目検討もつかない。
「・・・来週のお楽しみ、だな」
結局はそういう結論に至った。これで筆記試験とか来たら、正直泣ける。もう、やる気は起きない。尤も、実技試験が来たとしても無理なのだが。
だから今日は今日で、自分の成果を喜ぶことにする。
*
時はあっという間に流れるもので、既に1週間が経過した。つまり、山本が予告した第二テストの実施日だ。
しかし実は、未だに説明がされていない。
当日のお楽しみ、みたいなお約束なのかもしれないが、準備させてくれない辺り、タチが悪いものがある。
ちなみに、今はもう朝のホームルームの時間だ。
「さて、皆さんがお待ちかねの、今日のテストについてお知らせします」
ようやくテストの全貌が明らかにな
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ