暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十八話:眠れる騎士団
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か病気を克服して退院した時のために勉強しているそうだ。飲み込みは異様に早いので、レンが追い抜かれないように日々の学習時間を伸ばす羽目になった。

「……むぅ」

 後で、といったくせにすぐにテキストを開こうとするタルケンの対応に追われ、レンは隣で不満気に頬を膨らませるユウキには気づかなかった。



「それでは、ミーティングを始めましょう!」

 そのランの一言に、全員がラウンドテーブルの席に着く。レンが一番近かった席に座ると、対面にはランが、そして左隣にはユウキが座った。

「まずは、私が街で集めた情報を話しますね」

 最初に手を挙げたのはレンの右隣に腰を降ろしたシウネーだった。彼女はその人当たりの良さで街で様々な情報を集めるのが得意らしく、今日の情報集めも積極的に行っていたという。

「とはいえ、皆さん挑戦したことのある方はほとんどいなくて、手に入れられたのは『敵の数が異様に多く、上へ登っていくにつれ増えていく』という一点でした」

「敵の数が多い、か」

 そう無意識に呟くと、なにやら全員の眼差しが期待のこもったものに変わった。
 どうやら、SAOでのレン知識を求めているようだったが、はて、レン自身がSAOの前線で戦っていた攻略組の一員であったと喋ったのは一人しかいない。対面のほうへ目を向けると、彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。

「いや謝るほどの事でもないんだが……そうだな。陣形を組んで全員で昇って行ったほうがいいんじゃないか?」

「それは何故です?」

 そう聞いてきたのはタルケンだ。彼は一般的な勉強だけではなく、レンの持つ知識の全てを貪欲に吸収しようとしていた。

「数が多いとしか言わなかったのなら、恐らくは一体一体はそこまで強いわけではない。少なくとも、問題なのは個々の戦闘力よりも数であることは間違いない。だから、敵の全てを相手にすることはない。オレたちはただてっぺん目指して突き進んで行けばいい。謂わば一発の銃弾になるってことだな。倒すのは、邪魔な奴だけでいい」

 グランド・クエストの情報は極端に少なく、それこそ、実際に挑んでみた体験談のようなものしかない。これまでの準備の期間中、レン自身も色々と聞き込みをしてみたが結果は芳しくなかった。

「具体的に陣形はどのようにするのですか?」

 そう問いかけてきたのはランだ。彼女はギルドリーダーとしてこれまでの冒険で作戦立案の責任者を勤めていたそうだから、興味があるのだろう。

「陣形と言ってもそこまでガチガチに固めると行動の柔軟性が失われる。
 ――そうだな、支援型のシウネーを中心として、突破力のあるやつが先頭を、次に硬いやつがシウネーの周りに、そしてオールラウンダーとして最後尾に一人くらいはいたほうがいいかな」

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