幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十八話:眠れる騎士団
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う心境でそうしているのかは推測するしかないが、彼女はただ、この世界で必死に生きようとしているのではないだろうか。今際の際に立たされても尚、その生きようと必死に抗う姿は、疑いようもなく美しかった。
「ちなみに、この世界ではオレのことは『レン』と呼ぶんじゃなかったのか?」
「へっ? い、いや……あの、恥ずかしくてですね……」
† †
「うおい、帰ったぞぉ〜!」
全身を伸ばしながら宿屋に入っていくノリに続き、レンは部屋に足を踏み入れる。すると中央に設置されているテーブルの上には数多くのアイテム類が綺麗に整頓されて並べられていた。
「お帰りなさい、ノリさん。あら、皆さんも一緒だったんですね」
「そりゃ、迎えに行ったんだからな」
ノリやジュンと会話をするのは薄青い髪を長く伸ばした嫋やかな女性だった。恐らくテーブル上のアイテムはこの人が整頓したのだろう。レンはSAOではあまり見慣れないアイテム群を眺めてみる。
「ユウキもレンさんも、こんにちは」
「ああ。こんにちは、シウネー」
「やっほー、お買い物ありがとうねシウネー」
彼女の名前は『シウネー』。支援系の魔法を得意とするウンディーネの女性で、平均年齢の低いスリーピング・ナイツの姉役といったところだ。ただ、見た目とは裏腹に好戦的なところもあるのがレンにとっては意外だった。
「レン、リハビリの方はどう?」
そう話しかけてきたのは巨漢の男。だがその眼差しは柔らかく、口調も非常にゆったりとしている。種族はノームで、この種族は耐久力と採掘に長けているらしい。名前は『テッチ』という。なにかとレンの体の調子を気にかけてくれる優しい男だ。
「ああ、筋肉は少しずつだけど戻ってきてるよ。事件前のようにはいかないけどな」
日々のリハビリのおかげか、レンの筋力はゆっくりとだが戻ってきている。もう日常生活に支障はないと言ってもいい。うっかり出かけた『退院』という言葉は飲み込んだ。彼らにとってこの言葉がどれだけ重いものなのかは理解しているつもりだ。例え彼らが気にしていないと言っても、レンは彼らに少しでも辛い思いをして欲しくはないのだ。
「あの、レンさんに後で教えてもらいたいところがあるのですが……」
そう背後からかけられた声に振り替えると、ほっそりとした少年がおずおずと立っていた。この遠慮されているような態度は、二日目にレンの寝起きを女だと勘違いしてちょっとした騒ぎになったからだろうが、まあ、こうやって話しかけてきてくれるだけ以前よりはマシになったのだろう。
「ああ、オレでよければいつでも力になるよ、タルケン」
このようにちょくちょく勉強を聞きにくるこの少年の名前は『タルケン』。いつ
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