幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十八話:眠れる騎士団
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い付きに見事についてこれるのがスリーピング・ナイツだ。斜め左右後方からサラマンダーとスプリガンが地面スレスレの超低空飛行で接近してくる。
「もらったぁ!」
よく響くジュンの声を合図に、オレは槍を手放した。何事かと警戒するユウキに笑みを向け、背面飛びのように上空へジャンプする。そして未だに慣れない翅を肩甲骨辺りを意識して動かし、重力の力を減衰させる。空中で逆さまになったオレの鼻先を、大剣と長棍が通過した。そのまま翅に力を込めて、上空へ逃れていく。
「んなぁっ!?」
悔しげな声を聞きながら、まずは距離を取るべくただ上を目指す。ある程度のところまでたどり着いたら、左手を振り下ろしアイテムストレージを開いた。手放した槍はもう既にストレージの中に戻ってきていた。それを確認して、オレは今度は別の武器を手に取る。
それは槍でも直剣でもなく、オレの身長の半分程もある大太刀だった。元々、現実世界で武術をやっていたオレが最も得意としていたのは刀であり、次点で大太刀であった。ただ、SAOに大太刀のような剣はなかったため、ブランクは相当なものになる。
「師匠に会いに行くとなったら、そんなこと言ってられないんだろうけどな」
大きく息を吐きだす。鞘を左手に持ち、抜剣はまだせず右手を柄に添える。目を瞑り意識を集中させてから、オレは翅を一旦仕舞った。当然のように落下していく体。目を見開き、こちらへ昇ってくる三人を見据える。
「行くぞ!」
再び翅を展開し、思い切り風を押し出す。落下スピードが飛躍的に加速し視界に映っていた景色が超スピードで流れていく。三人の中で最もリーチが長いのはジュンで、最も突貫してくるのも彼だ。故に、オレが真っ先に落とすべきなのは――
「柳剣流――」
肩甲骨に力を籠め、最後の加速を行いジュンの横を通り抜ける。驚愕している彼を無視し、ユウキの眼前に躍り出た。
「津濤」
足場のない空中では踏ん張ることができない。そのため、下半身から力の伝達が必要になる居合切りは向かない。だから行ったのは、落下のスピードと渾身の力を込めたただの斬り下し。腰溜めの鞘から一気に上段まで振りかぶり、振り下ろす。
「うわぁっ!?」
対応が追い付かないユウキでは、この一撃は軌道を反らすこともできない。HPを削り切ってしまう前に、なんとか力を緩め衝撃を吸収する。一瞬目視したときはイエローゾーンで止まっていたから死にはしないだろうが、翅は維持できないらしい。
「こんにゃろう!」
長棍を振りかぶったノリが左から突っ込んでくるのを、鞘を突き出し牽制。動きが一瞬緩んだのを見て、踏み込む。
「チィっ」
なんとか逃れようと翅を動かすノリだったが、残念
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