幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十八話:眠れる騎士団
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り向くと、一番端にいたユウキがベッドから転げ落ちていた。何が何だか分からないが、手を差し伸べる。
「なにしてんだか。ほら」
「あ、ありがとー」
顔を真っ赤にしながら起き上がるユウキに笑みを返して、身支度に戻ることにする。
オレの選んだ種族は闇妖精のインプで、ユウキも同じ種族だ。種族毎にコンセプトとなる色があるらしく、インプは濃い紫で、オレの髪もユウキの髪も同じ色をしていた。
着替えといっても、この世界では装備を身に着けることで、それはボタンをタッチするだけで完了する。オレはまだまだ余裕のあるストレージから淀みなく装備を選んでいく。
大袈裟な燐光が弾けた後、黒の下着と簡素なズボンだった体には漆黒の軍服のような装備が現れていた。あの鉄城での装備より性能の高いものではないが、それでも一級品なんだそうだ。譲ってくれたサラマンダーの少年は自分には似合わないから、と言っていた。
完全にコスプレ状態の自分の姿を見て、ため息をつく。よく考えれば鉄城では二年間もコスプレだったのだが、それは考えないことにした。
「さて……」
こちらの準備は終わった。後は仲間たちが戻ってくるのを待つだけだが、このまま時間を無駄にするのはもったいない。
「ウォーミングアップでもするか?」
† †
リンク・スタート、と告げると真っ暗だった視界が白く染まり、次いで様々な色彩のラインが流れていった。
そして意識は覚醒し、目を開いた先には昨日見た天井が見える。ふと人の気配を感じそちらへ目を向ければ、ラフな格好の長髪の人が姿見の前へ歩いていくところだった。
見間違えるはずもない。あれは自分の兄だ。ボクと姉ちゃんの要望を聞き入れて昔のように長くした髪は女の人もかくや、というほどに艶やかだった。兄ちゃんは戦っているときに邪魔になると言っていたが、それでも髪型を変更しないのはボク達のお願いだからだろう。
なんてぼけっ、と考えていると、兄ちゃんは徐に髪を束ね始めた。ストレージから取り出した髪留めのゴムを口に咥え手際よく髪を纏めている。その後ろ姿になんとも言えないフェチズムを感じてしまい、顔が暑くなる。これ以上直視するのはダメだ、と直感的に悟り体を思い切り捩る、と、そこで体の下に感じていたベッドの感触が消えた。
しまった、なんて思ってももう遅い。今から翅を出しても意味がない。ボクは襲い来る痛みに備えて目をぎゅっと瞑った。
「…いっ、たぁ〜…!」
痛い。剣で斬られた時の痛みとは別種の、鈍い痛みが背中に突き抜ける。
「なにやってんだか。ほら」
床で悶えていたボクに、兄ちゃんの手が差し伸べられる。先ほどまでの変態的な思考やらベッドから転げ落ちた羞恥心で更に悶えそうになりながら、なんとかその
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