暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十八話:眠れる騎士団
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 アルヴヘイム・オンライン。

 一万もの人間を巻き込み、約四千の死者を出した茅場昌彦によるソードアート・オンライン事件を経て『絶対安全』と銘打たれた新ハード、アミュスフィアの代表的ソフトである。
 それは妖精の世界。プレイヤーは九つの種族に分かれ、それぞれに大陸の中心に位置する『世界樹』の踏破を目指している。世界樹の頂点、幻の天空都市にたどり着いた種族は、あらゆる種族を超えた上位存在『アルフ』に生まれ変わることができるとされているからだ。
 世界樹の攻略は単独では不可能なほどの難易度を誇っており、現状、未だ天空都市に到達し、『妖精王オベイロン』と謁見できたものはいない。また、『アルフ』へ転生できる種族は一種族のみという制限があるからか、各種族は基本的に己の種族だけで世界樹攻略を目指している。故に、この大陸では種族間の争いが勃発していた。各種族間での戦争、同盟、裏切り、まるで現実世界の縮図が形成されつつあった。

 ただ、それには例外が存在した。

 世界樹のある大陸の中心部。世界最大の都市『央都アルン』。ここは唯一の中立都市であり、種族に縛られず自由に冒険を楽しみたいプレイヤーがここに集まっているのだ。
 
 その大都市アルンの北端に位置する宿屋の一室で、オレは目を覚ました。いや、その表現は妥当ではない。正確に言うなら、この世界でのオレの分身――アバターが目を覚ましたと言うべきか。
 昨日共に寝付いた仲間は現実世界での予定があったオレとユウキを除いて全員で払っているらしい。恐らくは今日この後のための準備をしているのだろう。なにせこれからオレ達が行うのはこの世界最大の試みだ。準備に余念がないのは良いことだと言える。

 横になっていたベッドから起き上がり、軽く腕を動かしてみる。
 仮想世界の体は、現実世界で衰え切った自分の体よりも軽く感じた。二年間も仮想体で動き続けた結果か、このゲームにログインして日は浅いが動きのコツはもう習熟している。それを喜ぶべきか悲しむべきかは分からない。苦笑いしながら姿見の前に立つ。

 この世界の分身たるアバターは、現実世界のオレのものとなんら変わりない。少し違うのは、昔のように髪が長いことくらいか。こればかりは仕方ない。アバターを作成する時、わが麗しの妹たちに昔みたいに髪を長くしてくれと仰せつかってしまったのだから。普段は邪魔だから髪を後ろで一つに縛っているが、今は寝起き(?)だから何も手を付けていない。そういえば、この姿を初めてレプラコーンの少年に見られた時は顔を真っ赤にしていたな。女に見間違えられたのだろうか。
 アイテムストレージからゴムを取り出して、簡単に髪を纏める。なんだかどこかの侍みたいな姿だが、今更変更するのも面倒だ。

「ったぁ〜〜……」

 背後から聞こえたうめき声に振
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