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angelcode〜とある少女の物語〜
朝の一時
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な嬉しい事はないわよ?でもベリル様は友人の別荘にいらっしゃるのよ?
 そう簡単に再会できるわけがないわ………」

「確かに、簡単にって訳にはいかなそうだけどね〜。聞きたくない?」
ソフィアの喉がごくりと鳴った。

「仕方ないわね〜。恋するソフィアのために、教えてあげる」



 シャンティエの北西にある小高い丘の上には、この辺りを治めるサン・ボヌール男爵の別荘があるのだという。
 見えるとはいっても、馬車が無ければ、徒歩で半日近くはかかってしまう距離であり、その距離のために、神父も男爵が在宅な時を狙って、寄付を貰いに行っていたのだと言う。
 今年はいつにない長雨が続き、やっと昨日から暫しの晴れが続きそうなものの、長雨が原因の洪水で橋は流されて、町は北西部と南東部に分断されてしまい、食糧その他の物資の輸送が困難になった影響で、物価が高騰しているのだという。
 シャンティエ教会も、町の例に漏れず、食糧難の危機に瀕しているらしい。
そこで思い付いたのが、
寄付を募りにいく。
町内の店を廻り、食材を割り引いてもらう。
の2案だという。

 普段なら神父独りで住んでるため、買い出しも独り。そして、川のこちら側のパン屋の主は肥った中年男性。男が男に媚を売るなんて考えられず、店側も神父相手にパンを値引きするなんてまず有り得ない。
 今は自分達が教会に泊めてもらっている。橋が修復されるか、馬車の目処がたたない限り、教会に住み続ける事になるのだ。という事は四人で教会の備蓄に手を付ける事になる。

 幸い、自分達はまだ若い部類に入る。
 神父が言うには、3人が各々個別に買い物に行って、ウインクでもしようものなら、高騰している筈のパンでも割り引いてもらえるんじゃないか…?という事らしい。
 また同様に男爵の別荘の方も、神父が自ら行っていた時は、(相手が野郎なので仕方なく)『教会』に寄付をするのだという雰囲気がありありだったらしい。

 ベリル伯爵は、『近くの知人の別荘に逗留』していると言っていた。
昨日、昼過ぎに出会ったのである。
時間からしても、距離的にも、丘の上にあるというサン・ボヌール男爵の別荘にいると踏んで間違いない。


「さっ、もうそろそろ朝食が出来てもおかしくないわよ。身支度を済ませて執務室に行こう♪」

 なんか釈然としない。しかし、
「もっと詳しい話は、神父様に訊けばわかるわよ、ソフィア」
 と言われてしまえば、朝食の時にドレファス神父に訊くしかない。
「え、……ええ。そうね」
返事に詰まりながらも医務室を後にした。



 執務室の机が、壁際から中央に引っ張りだされ、木の板が乗せられて天板を広くしているその上には、三角に形作られ香ばしそうな焼き色がついた物が、千切りして調理された
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