344部分:第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその九
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第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその九
「公孫賛殿もやる」
「麗羽様!」
「そっちの人が!」
まだ公孫賛の名前を覚えられない袁紹陣営だった。
「追い上げています!」
「油断しないで下さい!」
「くっ、わかってますわ!」
歯噛みしながら応える袁紹だった。
「ここは」
「はい、頑張って下さい!」
「負けないで下さい!」
「御覧なさい、わたくしの底力!」
袁紹もだった。その力を見せた。
彼女もまた凄まじい勢いで鰻を捕まえていく。そうしてであった。
両者は鰻はおろか蛸や烏賊まで捕まえていく。水槽の中にあるものは瞬く間になくなってしまった。だが問題はそれで終わりではなかった。
「数は?」
「一体どちらが」
「どちらが上?」
「一体」
その数は火月と蒼月が数える。火月はその中で言った。
「何か全部食いたくなるな」
「それは後にするのです」
蒼月は弟の言葉に突っ込みを入れた。
「まずは仕事です」
「わかってるさ。じゃあ今日は蒲焼にたこ焼きにいか焼きの祭だな」
「焼いてばかりですね」
「火しか使えないからな、俺は」
こんな話をしながらそれぞれ袁紹が捕ったものと公孫賛が捕ったものを数える。その数は。
「互角だ」
「同じです」
二人はそれぞれ言った。
「どっちもな」
「同じ数でした」
「くっ、引き分けか!」
「無念ですわね」
公孫賛も袁紹もそれを聞いて同時に眉を顰めさせた。
「ならどうなる?」
「勝負は」
「もう終わりでいいんじゃないかしら」
ここで言ったのは劉備だった。
「白々ちゃんも袁紹さんも皆も力を尽くしたし」
「白蓮だ」
また言い返す公孫賛だった。
「だからね。ここは」
「そうですよね。それに」
孔明も話してきた。
「もうお米や麦は幽州に向かいはじめてますしね」
「何っ、気付いていたの?」
「まさか」
これには田豊と沮授が驚いた。
「どうして気付いたというの?」
「それには」
「何かお話されていてそうじゃないかなって思ったんです」
孔明は温和な笑顔で話を続ける。
「それで今釣りをかけたんですけれどその通りだったんですね」
「うっ、やられたわ」
「まさかそう来るなんて」
「流石は諸葛孔明」
「私達を」
「どうやら一枚上手ですわね」
袁紹は溜息と共に言った。既に水槽から出ている。だが全身ぬるぬるのままである。
「水華や恋花を出し抜けるなんて華琳のところのあの猫耳軍師でも無理ですのに」
「申し訳ありません、麗羽様」
「失態でした」
主に謝る二人の軍師だった。
「いいですわ」
しかし袁紹はその二人を許したのだった。言葉も穏やかである。
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