黒衣を狙いし紅の剣製 08
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「くっ……」
次々と襲い掛かってくる白と黒の斬撃。
子供の体格で放つ斬撃だけあって重さこそ軽めだが、鋭さは一流のそれと変わらない。また容赦なく的確に急所目掛けて放たれているだけに一太刀でも受け損ねれば必殺の一撃になりえる。
「クロ……こんなことして何になる?」
「そんなの決まってるわ。私の存在の証明よ!」
右の上段、左の突き、右の突き、左の切り払い……。
2本の剣をぶつかることなく絶え間なく連続で振るにはそれ相応の技術が必要だ。俺も二刀流を行うことがあるだけにそれは身に染みて理解できている。
プロジェクトF……元になった人間の記憶を転写されたクローンなだけにクロにはその技術の根幹は最初からあったのかもしれない。
だがたとえ記憶を転写されていたとしても元の人間と同じにならないのは明白だ。それはアリシアとフェイトの例を見ても間違いない。
それだけに……誕生してから数年しか経過していないのだろうが、ここまでの戦闘技術を身に付けたのはクロ自身の努力があったからだろう。どれほどの想いで……どれだけの訓練を積めば数年でここまでの技術が身に付くんだ。
「クロ、本当に俺を倒すことがお前の存在を証明することになるのか?」
「なるわ。例えならないとしても……少なくとも私がこれまでやってきたことは報われる」
先の事なんか分からない。だけどこれまでの自分を認めることが出来る。そうしたら……過去は意味のあるものになる。
目の前に浮かべられている悲しみの表情には、そんな言葉が隠されているように思えた。
グリード……お前はこの子のこんな顔を見ても人ではないと。贋作だと言えるのか。必要されてないと、俺を倒すために育てられているのだと理解しながらも……今日までお前の指示に従ってきたこの子を娘じゃないと言うのか。
「ち……」
次々と襲い掛かってくる斬撃は基本的に回避できているが、どれも紙一重。危ないものは剣を使って防いでいるが、そこから身軽な動きで追撃を行ってくる。
そのどれもこれもが的確に急所に飛来し、隙さえあれば足を払おうとしてくる。少しでも距離が出来そうになれば、剣状の魔力弾を生成して攻撃。それに対応している間にまた距離を詰めてくる。
シグナムのような騎士が相手をすれば邪道な剣だと言いそうだが、どうしても勝たなければならない命のやり取りの場においてはそれこそ王道と呼べるのだろう。
『何をやっている! さっきから防がれてばかりではないか。何のために高い金を払ってその小僧の動きを模したターゲットを制作し、貴様に訓練させてきたと思っている。真面目にやらんか贋作!』
「黙れ!」
『な……』
クロの重ね斬りを行った際、回避も出来たが俺はそれを受け止める。彼女は回避後の追撃を想定していたのか、
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