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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 外伝
黒衣を狙いし紅の剣製 08
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けた。
 普段なら防御魔法を使えば銃弾なんて防げるが、今の俺には魔法を発動するどころか指先ひとつ動かす体力も残っていない。こうしてまだ意識があるのは、ファラが今も懸命に回復魔法を行使しているからだ。それが途切れればどうなるか……

「醜く命乞いでもしてみたらどうなんだ? グリード様、どうかこの無能で愚かな私をお許しくださいってな!」
「…………」
「まあ、そんなことしても貴様は殺すがな! フハハハハハハハハハハハ! 助けが来るなんて期待しても無駄だ。来たところでここの防壁は並の攻撃ではビクともしない。残念だが貴様はもうここまでなんだよ!」

 そのとき――。
 刹那の静寂の後、爆音が響き渡り室内に埃や煙が舞い上がった。いったい何が起こったのか分からなかったが、天井に空いた穴からひとりの女性が舞い降りてきたことで全てを理解する。
 紫色の装束に同色のデバイス。澄んだ青色の瞳には怒りの炎が宿っており、表情はいつになく激昂している。そんな顔を俺は見たことがなかったが……間違いない。彼女はシュテル・スタークスだ。

「な……何が起こった? き、貴様は……あの女の。きき貴様も魔導師だったのか? だがここの壁はそう簡単に敗れるはずが……」
「あなたが……あなたがやってのですか?」
「何? あ、あぁそうさ! 全てはこの私が仕組ん……ぐぉッ!?」

 何が起こったのか簡潔に説明すると……シュテルが思いっきりグリードを殴ったのだ。
 ただ一般人を魔力で強化した身体で殴ればどうなるか、そんなのは言うまでもなく分かるだろう。最低でも数メートル飛んだ後、その勢いのまま何度も転がって行く。
 下手をすれば殺しかねない一撃だったわけだが、犯罪を起こす者というのは悪運が強いのか。はたまたシュテルの絶妙な加減のおかげでどうやら意識を失っただけで済んだようだ。

「何を寝ているのですか? まさかこの程度で許されるなんて思っていませんよね?」

 グリードが意識を失っているのも分からないのか、シュテルはルシフェリオンをグリードへと向け先端に魔力を集束し始める。炎熱変換資質を持つ彼女の魔力は紅蓮の炎へと姿を変えた。おそらく砲撃魔法であるブラストファイアを撃つつもりでいる。
 さすがにないとは思うが、今のシュテルにいつもの冷静さはない。もしも非殺傷設定を切っていたりすれば、間違いなく命を奪う。それだけは何としても止めなければ……!

「シュテルさん、ストップストップ! それ以上はダメです。いくら何でもやり過ぎですって!」
「ティアナ、放してください! あの男が……あの男がいなければこんなことにはならなかったのです。私はあの男を許せません!」
「許せないのは私も同じです! でも、ディアーチェさんと約束したじゃないですか!」

 どうやらシュテル
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