黒衣を狙いし紅の剣製 08
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
何故……何故攻撃が当たらん。数値はあの贋作よりも上なのだぞ……なのにどうして攻撃が当たらなくなっていく。あの小僧はもう死に体のはずだ! なのに何故……!?』
「そんなことも分からないのか?」
『何……?』
「確かに今のクロは攻撃、移動、反射……どの速度を取ってもさっきよりも上だ。だが……所詮それだけのこと」
最初こそ驚異的な速さに対応できなかったが、冷静に観察していれば今のクロの動きにはある特徴があった。それは
「お前のデバイスに読み合いなんてものは存在していない。ただ次の手を最善で打つだけ。目先の勝利に食らいついて来るだけだ。ならこっちがどういう行動を取るか誘導してやればこの結果も当然」
もしもこのデバイスに多少なりとも自分で考える力があったのならば、俺はすでに倒されていたことだろう。まあそんな仮定に意味はなく、現実は今なのだが。
「人間性がないということは、自分で考える力もないということだ。ただ与えられた命令に従うだけ。そんなものに……負けるどおりはない!」
前方に居たクロが姿を消した瞬間、俺は全力で反転しながら剣を肩に担ぐようにして絞る。
それと同時に装填されていたカートリッジ7発全てがリロード。爆発的に魔力が高まり、それらは全て紅蓮の炎へと変わった。
デスペラートならば、この状況なら背後から上段斬りを選ぶ。
その予想通りに振り返った俺の視界には二刀を上段に構えているクロの姿が映った。紅炎を集束させながら彼女の胸元――デスペラートのコアに向かって全力で剣を撃ち出す。
ブレイズストライク・エクステンション。
幼い頃から愛用してきたブレイズストライクの発展型。元の魔法よりも威力、貫通力共に向上している。また集束された紅炎を数十メートル先まで伸ばすことも可能であるため、近距離でなくとも使用が可能だ。
紅炎の刃は的確にデスペラートのコアを捉え、壁の方へと押し込んでいく。その際、凄まじく軋むような音が響き渡り……クロの身体が壁に直撃したのと同時にコアは砕け散った。
それに伴ってクロの身体からバリアジャケットは消え失せ、意識のない身体は床へと落下。手荒い救助になってしまったが……非殺傷設定で放った攻撃である以上、彼女の命の別状はないだろう。
「うっ……!?」
回復を止めフルカートリッジでの一撃を放った代償が容赦なく襲ってきた。
吐血した俺はその場に立っていることも出来ず、そのまま倒れ込んでしまう。視界の掠れ具合といい、身体中に感じる寒気といい……非常に不味い状態だ。意識を保っているのがやっとと言える。
「よくも……よくもよくもよくも私のデバイスを! 絶対に許さんぞ、私自ら貴様をあの世に送ってやる!」
室内に入ってきたグリードは懐から銃を取り出すと、その銃口を俺に向
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ