黒衣を狙いし紅の剣製 08
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費が激しくここぞという時にしか使えないのかもしれない。
だが……それはクロが使う場合だ。
今はクロの意識はない。デスペラートという名の殺戮兵器がただ俺を殺すためだけにクロの身体を使っている。あの男が作ったデバイスだけに、もしも転移にデメリットがあったとしても回数など関係なく使い続けるだろう。早めにどうにかしなければ……
「ち……ぐっ」
だが……今のクロには精神的なストッパーがない。また転移を頻繁に使われるせいで目ではどうしても追いきれない攻撃がある。容赦のなさで言えば、これまで戦ってきた中で今のクロが最大と言える。
〔マスターどうするの?〕
〔どうするもこうするも……今は耐えるしかない〕
〔耐えるしかないって……このままじゃ身体が〕
そう……ファラが懸念しているように動けば動くほど身体にガタが来ている。目の前が霞みつつあるだけにそんなに長くは戦えない。
それに……今は回復に魔力を回している。それはファラに任せているわけだが、少しでも緩めれば俺の動きは致命的に鈍るだろう。それだけに攻撃にも防御にも魔力は回せない。回すなら……それはここぞという時だけだ。
〔ファラ……必ず勝機を見出す。そのときは……回復に使ってる魔力を攻撃に回せ。カートリッジもフルでだ〕
〔分かった……って、フルカートリッジ!? ただでさえ今搭載しているカートリッジは従来のものより強力なんだよ。それをフルで使ったりなんかしたら私はともかくマスターの身体が持たないよ!〕
〔そんなこと分かってる。だが……どうせ長くは持たないし、攻撃するなら一撃が限度だ〕
今のクロは意識を失っているようなものだ。故に普通に攻撃してもデスペラートが操っている限り、戦うことをやめないだろう。
このまま防戦を続けていても先に倒れるのはこちらの方だ。反撃出来るのも一撃が限界。その一撃でクロを止めるとなれば……クロを操っているデスペラートを破壊するためには確実な一撃が必要となる。そのためには身体への反動なんか気にしていられない。
〔どうせこのままじゃこちらが先にやられる。ならリスクを背負っても全力全開に掛けた方がまだ助かる見込みがあるはずだ〕
〔それはそうだけど……マスターに何かあったら絶対にセイとかから私が責められるんだからね。やるのは止めないけど、死んだりしたら怒るから!〕
死んだ相手に怒っても意味はないと思うのだが。
そう思いはしたが、ファラも覚悟を決めてくれたのだ。そんな良いパートナーに無粋な返事をするほど間抜けではない。
右の上段、左の切り払い、後方に転移からの右突き……。
そのように絶え間なく攻撃は続く。だが……少しずつ俺の被弾率は下がり、剣で防ぐ回数も減っていく。最小限の動きで回避できるようなってきているのだ。
『
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