黒衣を狙いし紅の剣製 08
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作品がナイトルナに勝ったのだ。フハハハハ! 思い知ったか、これが私の力。人間らしさなどを捨てて戦闘のみに特化させたものの力だ!』
何とも癪に障る声だ。
作品? 作品だと? それは……クロのことか。あの子を人間らしさのない戦うための道具だと貴様は言ったのか。
ふざ……けるな。
あの子には心がある。意思がある……あの子はあの子自身のもので俺を今の状態にしたのあの子の力だ。断じてお前のものじゃない。お前の力が生んだ結果じゃない。
「黙……れ。……お前が……勝ち誇るな……」
四肢に力を入れてどうにか立ち上がる。出血が多少なりとも減っているあたり、俺が倒れ込んだのとほぼ同時にファラが治癒魔法を行ってくれたのだろう。
今も続けてくれているようだが……おそらく完治はしないだろう。俺の治癒魔法のレベルがシャマルほどでないのも理由だが、それ以上に負った傷が深すぎた。出来て応急手当レベル……早めに片付けなければ命に関わりかねない。
『なぜ……何故その状態で立てるのだ!? まさか……クロエ、貴様その男にわざと手心を加えたのではないだろうな!』
「そ、そんなのことしてない!? わ、私は確かに……殺すつもりで」
「あぁ……確かにクロは殺すつもりで攻撃してきたさ」
正直に言えば目の前が霞んでいるし、立っているのもやっとの状態だ。時間が経てばさらに悪化し、遠くない未来……俺は意識を失うだろう。そうなれば助けが来ない限り死ぬのは避けられない。
けれど……たとえそうなったとしてもここで逃げるわけにはいかない。クロを放っておくことなんてできない。クロを止めること……それが今俺が果たすべき使命だ。まあ……単純にクロをどうにかしないと逃げきれないというのも理由なのだが。
「なら……何で」
「そんなの……簡単なことさ。……どんなに覚悟を決めていても……心の中に少しでも迷いがあれば太刀筋に出る」
斬られた個所からして、あとほんのわずかでも傷が深かったならば致命的だった。意識を保てたとしても立ち上がることはおろか、言葉を話すことも出来なかったことだろう。
「クロ……お前はこんなこと望んじゃいない。……俺がこうして立っていられることが……その証明だ」
「ち……違う。わ、私は……あなたを……たまたま偶然致命傷にならなかっただけで。別に私が……」
「たとえそうだとしても……もうお前は俺を斬れない」
「な、何を証拠に……ふざけないで! 今度こそあなたを確実に……ぁ」
俺に剣を向けたことでクロは自分の異変に気付いたようだ。
クロの手に握られている剣にはべったりと俺の血が付いている。だが注目すべきはそこではない。
先ほどまでは連続で振り抜いていても微動だにしていなかった剣先が今は目に見て分かるほど震えている。頭で
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