黒衣を狙いし紅の剣製 08
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一瞬であるが動きが止まった。それを見逃さず半ば強引にクロを弾き飛ばして距離を作る。
「グリード、貴様はこの子の何を見ている? 何を見てきた?」
この子くらいの年代なら友人と遊んだり、オシャレをしたりとやりたいことはいくらでもあるだろう。
だが……貴様はこの屋敷に閉じ込め戦闘訓練ばかりさせてきたんだろう。褒めることもせず、ただ俺を倒すためのマシンにするために日に日に困難な課題を押し付けてきたのだろう。
クロはそれに不満を感じながらも応え続け……これだけの強さを身に付けた。きっとお前に認めてほしかったからだ。別に嫌われてもいい。嫌われていてもいい。ただ自分は必要とされていると。ここに居てもいいのだと……そういう実感が欲しかったんだ。
『何をだと? 偉そうに……何も見てきていない貴様が何を語れるというのだ!』
「確かにお前がこの子に何をしたのか、この子がどういう想いを胸にして生きてきたのか。それは俺は分からない。だが……この子の戦いを見ていれば想像することは出来る」
『想像だと? 笑わせるな! 想像なんて不確かなものだ。そんなもので説教を垂れるなこの偽善者が!』
そのとおり……俺の考えなんてクロから真実を聞いてもいないただの仮設。当たっている可能性があるだけで、俺のしようとしていることをクロは望んでいないのかもしれない。だがそれでも……
「たとえ偽善者であったとしても……この子の中にある悲しみくらいは察してやれる。生命を道具としか思わず、この子を偽物だと吐き捨てる貴様の方が人の形をした贋作だ!」
『なん……だと。この私が……贋作? フフフ……フハハハハ……ほざくなよ小僧! この私がこれまで貴様の父親や叔母にどんだけ侮辱されてきたと思っている。贋作なのは貴様の……興味のある者しか人として見ないナイトルナの血筋だろう!』
確かに父さんも義母さんも研究第一であまり他人に興味に持つ人ではない。
だからお前を自覚なく傷つけていたことはあるのだろう。親戚であれば年に数回は交流があってもおかしくない。お前が傷ついた数は一度や二度ではないのかもしれない。だが……
「少なくとも……俺の父さんや義母さんは人の道から外れたことしない。生命を道具として扱うような真似はしない。お前と一緒にするな」
『く……その目だ。貴様らの血筋はいつもその自分は間違っていないのだと。他人から何を言われても曲げるつもりはないのだと。そう言いたげな目を私に向けてくる……そうやって私を蔑んでくる。鬱陶しいのだ、貴様達は!』
頭を掻きむしりながら血走った目を向けてくるグリードの姿は、まるで怨念で姿が変わってしまったかのような化け物のように見える。これが人間の業……人の最も醜いものが表に出た状態なのかもしれない。
『クロエ、さっさとそ
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