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の種だった。

 義理とはいえクルスの妹――仲良くしたいのだが……と。


「あ、加川さん?」

「え?」


 不意に呼び止められたアリスは声のした方向へ振り向く。

 ライダーズの男子がそこに居た――クラスが違うため名前はわからないが、午後の授業は一緒なので見たことはあった。


「今、少し大丈夫かな?」

「んー、急いでるんだけど……」

「す、すぐ済むから。今週の日曜日って空いて――」

「ごめんなさい、日曜日は空いてないんだ。じゃ、あたし急ぐからっ!」


 一発で撃沈、休み時間や一人を狙われてアリスは自分のクラスや他のクラスの男子から誘われるが全て断っている。

 デートの誘いだというのはアリスにもわかっていた、だけどアリス自身はクルスに一途にいたかった。

 放心する男子に頭を下げ、アリスは食堂へと走っていった。

 アリスが食堂に着いた頃にはクルスと由加は食事を終えていた。


「アリスか、今から食べるのか?」

「そ、そうしようと思ったんだけど、やっぱあまりお腹空いてないからやめようかなって」


 アリスはそう言うが由加は――。


「加川さん、食事はライダーズの基本です。私達の事は気になさらずにどうぞ食事を摂ってください」


 明らかに排除しようとする由加だがアリスは――。


「大丈夫! 一食抜いても大したことないし!」


 力強く告げたアリス、女の子にとって一食抜くのは軽いダイエットなのだ。

 だけど本当に痩せたいのなら、炭水化物を抜くのが一番なのは言うまでもない。

 ともかく、アリスはクルスと一緒に居ることを選んだのだ、そしてそれを遠巻きに見てる畠山海にとっては面白くない。

 まだ二日目、だけどアリスに一目惚れした海にとってはクルスの存在が邪魔なのだ。


「……今はまだ堪えるとき。というよりも……あの天使をデートにさえ誘えれば!」


 意気込みは食堂全体に聞こえていて辺り一帯から失笑が聞こえるが海は気にしなかった。

 早速自室に戻り、デートプランを考えようと駆け足で戻ったのだった。
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