第90話 魔界衆との戦い(その四)
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た。ですが、そろそろ地獄へ送り返さねばなりません故、決着をつけましょう」
武蔵とは反対に十兵衛は剣に力を込め、武蔵を睨み付けた。
「来るか、十兵衛」
武蔵の顔からも笑顔が消えた。
強烈な剣気が交差し、風となって吹き荒れた。そして、始めに動いたのは、十兵衛だった。
畳の上を滑るかのように武蔵との間合いを一気に詰めてきた。が、武蔵も同様のことを考えていたかのように前進してきたのだった。
二人は目にもとまらぬ速さで刀を交わした。鈍い金属音が響き渡る。
十兵衛が胴を狙えば、武蔵がそれを交わし。武蔵が面を狙えば十兵衛がそれを交わす。
足を狙えばそれを飛んでかわし、小手を狙えば狙われた手を剣から離しそれを交わす。まさに、互角。一進一退の攻防であった。
疲れも見せず剣をふるい続け、奥義を尽くして打ち合う二人。が、最初のつばぜり合いで武蔵はついに二刀を抜いた。
十兵衛の胴を小太刀で巻こうとしたのだった。が、十兵衛は武蔵のつばを利用して後ろへ飛んだ。そして、武蔵の太刀を持つ手首を狙って剣を振り下ろした。
武蔵は間一髪で小太刀で十兵衛の一撃を防いだ。と当時に今度は武蔵が十兵衛の右わき腹を狙う。
十兵衛は、剣を右斜めに構え武蔵の剣を防ぐ。そして、武蔵の剣に沿うように滑らせたと思うと、武蔵の右面を狙う。
武蔵は、小太刀でそれを防ぐと太刀で十兵衛の首を狙って突き入れた。もちろん、十兵衛はそれを交わした。そして、武蔵の右横を低い姿勢のまま走り抜けた。
「ぬぅ」
武蔵は低い声でうめいた。なぜなら、すり抜けていった十兵衛の剣が武蔵の胴を斬りつけていったからだ。
傷は浅かったにしても武蔵を上回ったことに変わりはない。そして、武蔵は十兵衛の姿をみて驚愕した。
「十兵衛、お主も二刀をつかいおるか」
武蔵の胴を斬りつけたのは、十兵衛の小太刀。そして、武蔵がみた十兵衛の姿は、右手に愛刀・典太。左手には小太刀を持った二刀流。
「やりおるな。それでこそ、わしが戦いたかった、柳生十兵衛」
武蔵は、斬られた横腹など全く気にすることなどなかった。そして、両腕を前に突出し、刀を八の字のように構えた。
「十兵衛よ。まぐれとはいえ、よくぞわしの胴をないだな。誉めてやろう。だが、これまでよ」
武蔵の剣気が、いままで以上に膨らんでいくのが十兵衛にはわかる。
「さて、それはどうですかな?二刀を扱う者はいまではごまんといるそうですよ。ゆえに、この十兵衛も武蔵殿よりうまく使ってみせましょう」
十兵衛は、武蔵を挑発するようににやりと笑って、武蔵と同様の構えをみせた。
「なめるな、十兵衛」
武蔵の怒りのせいか、ますます剣気が膨れ上がり、十兵衛に向かって発していた。
(さて、土方殿。うまくやってくれよ)
実は、前述していた十兵衛と土方の
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