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魔界転生(幕末編)
第90話 魔界衆との戦い(その四)
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うものが臆病風に吹かれるとはなぁ。まぁ、いい。お前はそこで縮こまっておれ」
 そういうと、近藤は刀をぬいた。
「さぁ、始めようか。十兵衛」
 武蔵もまた刀を抜いた。と同時に、土方が先ほど感じた剣気などとは比較にならないほどの気が発せられた。
「では、参る」
 十兵衛も刀を抜くと同時に、武蔵と匹敵する位の巨大な剣気を発した。
「うわ、うわわ。な、なんだこれは」
 巨大な姿をした十兵衛と武蔵に挟まれて近藤は、驚愕のあまり目を見開いて叫んだ。その瞬間、近藤は木端微塵に切り刻まれ跡形もなく消え失せてしまった。
(なるほど、そういうことか)
 土方は、二人よりも未熟な剣気を抑え、遠巻きに身を潜めていた。
(俺たちの出る幕はなかったんだよ、近藤さん。十兵衛殿と戦いたい。武蔵殿と戦いたいということ自体、俺たちは無謀ということだったんだよ)
 近藤の無残な死に方に土方はそう思った。

「なにやら、子虫を斬ってしまったようなだなぁ、十兵衛よ」
「全くその様で」
 十兵衛と武蔵はお互い見つめ合いにやりと笑った。
「おい、その土方という者。お主もわしと戦いたいか?」
 武蔵は土方に向かって言った。
(冗談ではない。あの二人の剣気に巻き込まれたら最後。近藤さんのように木端微塵だ)
「いやいや。ご遠慮いたしまする」
 土方は武蔵に大声で答えた。
「賢明な判断だ。近藤という男のようになりたくなければな」
 武蔵はにやりと笑った。
「武蔵殿、どうしてもひいてはくださらぬか」
 十兵衛はなるべくこの男とは戦いたくないと思っていた。なぜなら、先の魔界衆との戦いでもっとも苦戦した男だからだ。
「何をたわけたことを申しておる、十兵衛。わしは、お主との戦いを楽しみにいておったのだぞ」
 武蔵は、右手に持った大刀を突きつけて睨み付けた。
「左様でござるか。では、致し方なし」
 十兵衛は愛刀・典太を斜めに傾けた正眼で構えた。
(始まる。怪物たちの戦いが)
 土方は息をのみ、二人の戦いを見守った。が、実はここに来る前に十兵衛との話し合いがあったのだ。
「行くぞ、十兵衛」
 武蔵は、大刀を上段に構えたかと思うと、気合もろとも振り下ろした。すると、物凄い剣力の風が十兵衛に襲い掛かった。が、十兵衛もまた気合を込めて刀を振り下ろす。
 その風は、十兵衛により真っ二つに切り裂かれ、十兵衛の後ろへと通り過ぎて行った。
 それと同時に、十兵衛が返す刀で武蔵と同じことをやり返した。が、武蔵もまたそれを切り裂いた。
 その攻撃が当分の間続いたが、十兵衛も武蔵も引きことはなく、全くの互角であった。
 「ワハハハハ。楽しいなぁ、十兵衛。こんなにわくわくするのは、小次郎とお主との先の戦い以来だぞ」
 武蔵は、楽しそうに大声で笑った。
「それはようござっ
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