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やはり俺がネイバーと戦うのは間違っているのだろうか
3.由比ヶ浜結衣は木炭を生成する
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れを見ていた由比ヶ浜は自分に向けられたものだと判断したらしい。スカートをぎゅっと握りしめ俯いてしまった。
「あ、あははー、へ、変だよねー。あたしみたいなのがクッキーとか何乙女ってんだって感じだよねー」
「そうね、確かにあなたみたいな派手っぽい人がやるイメージではないわね」
「だ、だよねー。変だよねー」
俯きながら。上目を使い不安そうな目で俺をみる。
なんか、こいつ人に振り回されてる感じがする。自分の意見ではなく他人の意見にいつも乗っかってそう。
他人の意見の尊重と言えばきれいだがこいつのはそうじゃない。他人に周りを円滑に回すために気を遣い、諍いが起こらないようにするために怖がっているだけだ。おそらく、俺の答えでこいつが雪ノ下のぱーふぇくと料理教室をするかが決まる。煽るか。
「………べつに、似合わないだとかきゃらじゃないだとか柄じゃないだとか、そんなの関係なしに興味ないだけだ」
「もっとひどいよ!ヒッキーマジあり得ない!あー腹立ってきた!あたしだってやればできる子なんだからね!」
よし、作戦通り。煽れば乗ると思ったよ。
俺の内心を知ってか総司が呆れるように笑っていた。さて、教えるのは雪ノ下にまかせて俺らは適当に過ごすかと思い、総司へ視線を動かす。だが、耳からの情報は常に入ってくるもので、エプロンまでつけられないと知ったときは背筋が凍った。
そして現在に至る。まさか、砂糖と塩を間違えるとは思わなかった。その調理過程は化学の実験か何かかと思わせるには充分だった。
「わからないわ。何故あんなにミスを重ねられるの?」
「私、クッキーとか実物見るの久しぶりなんですけど、こんなに禍々しいものでしたっけ?」
「違うぞ、総司。これはクッキーじゃない別の物だ」
「ああ、木炭ですね!」
「違うし!」
由比ヶ浜が否定するが、いやでもこれホームセンターとかと並べてあるやつと遜色ないぞ。
「見た目はあれだけど、食べられる物使ってるから大丈夫だよね!」
「そうね、ちょうど味見役もいるし」
「ははは!雪ノ下、お前にしてはえらく珍しい言い間違いだな!これは毒味というんだ!」
「毒じゃないし!…………………やっぱり、毒?」
自分でも自信ないんじゃねーか。
まあでも、引き受けちまった手前、
「食わねーわけには、いかんよなー」
その言葉を最後に俺はクッキーを一つ取り、口に運ぶ。総司は八幡さん、ストップ!と静止を促しているが、ここで食わねーと、男じゃねぇ!
ジャリ!
そんな食感を残し、薄れゆく俺の耳に最後に聞こえたのは、八幡さんが死んだ!という声だった。
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