黒衣を狙いし紅の剣製 07
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俺は先日見学に来たグリードさんの頼みもあって、彼が作ったデバイスを見るためにナハトモーント家を訪れている。
まあグリードさんが迎えに来てくれたので訪ねたというよりは招かれたという方が正しい表現かもしれない。
「マスター、ずいぶんと大きな家だね。家というか屋敷?」
「そうだな」
敷地面積や建物の大きさで言えばその表現が正しいだろう。
道中はずいぶんと都市部から離れるのでどういう場所なのかと思ったが、個人でこの規模の建物を持っているとなると都市部から離れて正解かもしれない。
そのように思った理由は、内部を見たわけではないが、これだけ資金があるのなら設備もそれなりに充実しているはず。なら人里から離れた方が騒音や工事に悩まされることも少ないため、研究に没頭できると思ったからだ。
「研究に必要な設備ばかりで大したものはないが、まあとりあえず中に入ってくれ」
グリードさんに促されて屋敷の中に入る。
外観は古風な印象があったが、中は最近の作りになっている。最新の設備を準備するに当たって何度かリフォームが行われたのかもしれない。
「分かってたことではありますけど、やっぱり広いですね」
「昔は名のある家として知られていたようだからね。そのときの名残りさ。今ではすっかり君の家の方が世間的には知られている」
「それは俺の家というよりは義母さん個人のことだと思いますけどね」
俺も知られるようにはなってきているけど、シュテルやユーリの方が知られてるしな。まあ技術者一本のあいつらと違って魔導師としての仕事もしてるから当然と言えば当然なんだろうが。あまり注目されたいとも思わないし。
「お茶でも飲むかい?」
「いえ、お構いなく……そういえばクロは?」
「あぁあの子か。あの子なら君が来ると分かって嬉しかったんだろうね。もうテスト室に居ると思うよ」
「テスト室?」
「一般的には訓練室と呼ばれているよう部屋さ。デバイスのテストにはそれ相応な環境が必要だからね」
それは最もな言葉だ。
最新の技術というのは人々に提供できるまでに時間が掛かる。その過程で失敗が起こることは何度もあることだ。俺自身も何度も経験した覚えがあるし。
そういう事故のようなものがなくてもデバイスの使用はある意味魔法の使用と同義。そのため安全に魔法を使える環境が必要になる。
クロがグリードさんのデバイスのテストマスターをしていたことには驚いたが、もしかするとそこがこの親子のケンカの原因になっているのかもしれない。
先日の見学で分かったことだが、クロは年の割にデバイスの知識に長けている。その証拠に見学の際は知識がなければ質問できないことをいくつも聞いてきていた。率直に言って着眼点も悪くないため、将来は優秀な技術者になるのではないだ
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