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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
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沈黙を破るように言葉を紡いだのは凱だった。語るのがつらいと察したのか、王の心理を代弁するかのように――
凱とて、それが本当かどうかわからない。ただ、『場に存在する意識』を感受して、王の心理をそれなりで考察したに過ぎない。凱の持つ能力リミピットチャンネルだ。
今より真相が語られる。










◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇










今より300年前――
初代テナルディエ一族。ジスタートがまだ領土統一の為されていない『丘』だったころ、台頭した勢力を唯一保有していた。
たった一人……たった一人で、『集落』というちっぽけな『丘』を『国』にまで発展させた男。
それとは別に、各地では紛争やまぬ環境に一つの変化が訪れた。
滅亡――拡散――併合――国が形を変えていく過程を得て部族が30程度になった時、一人の男がフラリと現れた。
『黒竜の代理たる私を王として従うなら』勝たせようと告げてきた。
七つの部族のみが、その言葉を信じて付き従った。

「その人物が、黒竜の化身というわけですか」
「黒竜の代理……その意に従わぬものは『力』を以って平定する……あの荒んだ時代ではああするしかなかった!」

凱が戦慄を込めた声でつぶやき、ヴィクト−ルが苦々しい表情で告げた。
食料問題。人の吸う大気ですら、『力』という名の法律で管理する。そうでなければ、すぐさま人は大地をむさぼり、新鮮な大気さえもほおばり続けるだろう。
まだ混迷とした時代と環境の中で集団が生き残るには、それしか方法がなかった。
国も一つの生命体である以上、やはり必要な栄養素を求めて戦いに赴く。
『人』――『貨幣』――『土地』――『資産』――追い求める『夢』を目指していくには、欠かせないものたち。
オステローデは国そのもの『在庫』として。
ルヴーシュ、レグニーツァは海から得られる『食料』を求めて。
ブレストは草原を有した『放牧』をさせて。
ポリーシャは往来の特化した『大蔵』として。
オルミュッツは雪原のもたらす『防壁』を与えて。
そして、七つの部族が最後の戦略として選んだのは、豊かな『食料』を有する『ライトメリッツ』だった。
ほぼ完全に包囲された『ライトメリッツ』に、勝ち目などありはしなかった。
七つの竜具を与えられた戦姫、海原のような騎兵に歩兵、このような大軍に抗うなど考えられない。
一つの疑問に感づいた凱は質問をしてみた。

「どうして……テナルディエの一族は最後まで抗い続けたのですか?」
「女です」

ヴァレンティナの言葉の意味がわからず、凱は思わず目を見開いた。
初代テナルディエの降伏を黒竜の化身が認めなかったのか――
それとも、徹底抗戦を唱え続けてきたのか――

「そのあ
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