第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
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出してやるのに、時間が足り……なかったようだ――
――父上!?―― ――ウルス様!?――
――ティグルヴルムド。その黒き弓……は時代を勝ち……取る力がある。だが、今それを……解放するわけ……にはいか……ないのだ――
――父上!俺はこの『弓』の力を正しきことに使います!希望の為に!――
――ああ、もちろん私……もそう信じている。ティグルヴルムド。お前の……その正しい心を持ち続ける事。民を守る……優しい心を持ち続ける事。ブリューヌ……の人々が、世界が……そう願う事を――
――父上!?――
――あとは……頼んだぞ。バ……ートランさらばだ。ティグルヴルムド……――
――父上……父上ぇぇぇぇぇ!!――
【記憶で弾けた弦の音が――黒き弓の『力』を呼び覚ます!!】
残酷なことに、一人の老人の生命と引き換えに、己が力を覚醒させた未来の英雄。
ただ、あまりにも犠牲が多すぎた。
そして――そして――そして――!!
(ぐっ……この私の『左腕』を吹き飛ばすとは!)
だが、不思議なことに、吹き飛ばされたという屈辱と苦痛は微塵も感じていなかった。
フェリックス=アーロン=テナルディエは歓喜に打ち震えた!
――これだ!この瞬間を待っていた!――
――黒き弓の『魔弾』!ブリューヌの新世紀を告げる『暁』となるだろう!―――
――そうだろう!ヴォルン!これで終わりではない!ここから始まるのだ!――
虚空を貫く魔弾を放った未完成の英雄は、立ったまま気を失っていた。
ここで映像は途絶えた。
(そう……でしたね。勇者が動くには『命令』ではなく『理由』が必要――)
ヴァレンティナは決意した。
民衆が『英雄』を求めたように、時代が勇者を欲するなら、『今まで影に隠してきた真実』を話すべきだと――
それこそ、ジスタートの栄華の裏に、数多の犠牲を払ったものたちの怨念。
目に映る人々が泣き、愛する伴侶を贄にささげた、闇から影へ葬ったものたちの魂。
永遠の輪廻に、目指すべき『丘』に辿り着けなかった『まつろわぬ星』……逆星の迷い子たちよ。
――ああ……神よ。
我らは『星』に何を願えばいいのか、わかっていないのです。
――そして2日後の夜。
早速ヴァレンティナは竜技『虚空回廊』を展開。エザンディスを袈裟斬りに一閃すると、並列空間が出現する。紫と漆黒が淀み交わるそれらを皆は通過していく。
運命の邂逅は近づいている。
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