第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
[4/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
一幕――ティッタと呼ばれる少女が、嗚咽を漏らして凱の胸元へ泣きついたところで、ヴァレンティナの視界は途絶えた。
一体どういうことか?エザンディスは『幻』となった過去をさかのぼり、主に映像を送り込む。
視界の隅に、『そうとなった』と思われる『黒幕』が目に映る。
黒き弓を引き絞り、『力』を一転に集中させている若者と――
『アリファール』に酷似した金色の剣を持ち、一人の老人の首を締めあげて、盾にしている公爵――
二人が相対していた。
――テナルディエ公爵!早くバートランを離せ!――
――そうだ!ヴォルン!よく狙え!私を倒したくば、この『そば仕えの老人』ごと打ち抜くほかないぞ――
――バートラン!――
――どうした!?ヴォルン!撃て!撃って見せろ!――
――(……出来ない!俺がバートランを撃つなんて!)――
――やはりそうか!震える『黒弓』を見る限り、結局貴様はそうなのだ!ヴォルン!――
――俺は……俺は!!――
――逃したな!この老人が『生きている』間が、私を撃てる勝機だったのだ!――
――……どうして!こんな!――
――いいか、ヴォルン。犠牲のない『戦争』など…………無い!――
次の瞬間、ティグルの中で何かが『はじけた』
『幻想』の記憶に包まれた感覚にさいなまれて――
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――ティグルヴルムド……お前はティグルヴルムドだ――
それが……ボクの……な……ま……え?
――そう、あなたはティグル――
ボクは……ティグル?
――わたしのティグル――
あなたの……ティグル?ボクは……
――かわいいティグル――
ティグル……ティグル……それが……ボクの……ナ……マ……エ?
それは、この世に生を受け、産声を上げた時の小さな記憶。
ティグルヴルムド。まだ歳を重ねていない幼子の頃の記憶である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
――ティグルヴルムド――
父さん?
――さあ、耕してみろ――
そう言えば、こんなこともあったっけ?
父さんから渡された鍬で、言われた通り耕したら、手がマメだらけになって僕は根をあげた。
――彼らは毎日のように畑を耕している。どんな時でも生きるために、皆やっている――
僕だって狩りをしているよ。この前なんか、こんな大きな鹿を仕留めたんだ。
――ティグルヴルムド。そなたの技量は今の歳を考えれば見事なものだ。しかし、生きる為に狩りをしているのではないのだろう――
う〜ん?よくわからないや?幼い頃の自分はそう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ