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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
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す方法では駄目だ。一体何日かかるか読めたものではない。そもそも凱の行方をこちらは知らないから、この方法は論外だ。

多目的通信用玉鋼――大気中に含まれる『霊体』を介して通話を確立させる道具はどうだろうか?凱の言い方だとそれは『GGGスマートフォン』と呼ばれるものだ。
……いや、これも無理だろうと判断する。彼は異端審問の際に獅子篭手(ガオーブレス)もろとも剥奪されている。おそらく多目的通信玉鋼も例外なく取り上げられているはずだ。
しばし考察の中、抱えていたエザンディスが微かな紫の光を放ち、主たる彼女の意志に訴える。「自らがアリファールに接触してみる」と――

(……エザンディス?)

それは、竜具同士の掛け合いみたいなものだろうか。存在する意志たちの疎通を可能にするそれは――
超越意識同調現象(イレインバーセット)』なのか――
『超越精神感応能力(リミピット・チャンネル)』なのかは分からないが――
初めて感じ取った竜具からの『意志』を、ヴァレンティナは静かに受け止めてみた。

――――――――ガイ。

ぽわりと――エザンディスの宝玉に『晄』が灯った。

(……彼はいま『ディナント平原』にいるのですか)

エザンディスが凱の現在位置を教えてくれた。正確には、アリファールの位置なのだが。
そして同時に、凱の行動を一通り把握することができた。
『治水』から始まる戦いはやがて『銃火』へ、時代の律動の裏側へ回帰する。
壊滅寸前の『銀の流星軍・シルヴミーティオ』へ介入したこと。それについては想定できている。戦姫がまだ会得できていない『竜技』の数々を、ディナントの戦いで披露したことも。

(流石はガイですね。『自然現象たる竜技(ヴェーダ)』の根源は、自然力学の『知識(ヴェーダ)』ということを察しています)

エレオノーラと同じ戦姫であるヴァレンティナは、ある程度『銀閃』の竜技を知っていた。
風影(ヴェルニー)と│大気ごと薙ぎ払え≪レイ・アドモス≫の二種類のみ。

――既存のアリファールから凱は竜技の目録(レパートリー)を引き出した。
それは、いつでも演奏できるよう準備されていた『曲名』かもしれない。

『銃』という未曽有の兵器を前にして、凱は敵と味方の識別攻撃を可能とする竜技(ヴェーダ)を放ったのだ。
それは――敵の軍勢を押し返し、味方の士気を吹き返し、仲間と呼吸を合わせる、『竜の息』たる風華(メルティーオ)だった。
大気断熱圧縮から生み出される流星(ミーティア)。逆星に与した咎人に、裁きの流星を降り注ぐ勇者。
獅子の『心』と竜の『技』が合わさりしこそ、本当の『力』となる。
次の視界へ切り替わる。









―バートランさんが……死にました――








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