第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
[3/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
す方法では駄目だ。一体何日かかるか読めたものではない。そもそも凱の行方をこちらは知らないから、この方法は論外だ。
多目的通信用玉鋼――大気中に含まれる『霊体』を介して通話を確立させる道具はどうだろうか?凱の言い方だとそれは『GGGスマートフォン』と呼ばれるものだ。
……いや、これも無理だろうと判断する。彼は異端審問の際に獅子篭手もろとも剥奪されている。おそらく多目的通信玉鋼も例外なく取り上げられているはずだ。
しばし考察の中、抱えていたエザンディスが微かな紫の光を放ち、主たる彼女の意志に訴える。「自らがアリファールに接触してみる」と――
(……エザンディス?)
それは、竜具同士の掛け合いみたいなものだろうか。存在する意志たちの疎通を可能にするそれは――
『超越意識同調現象』なのか――
『超越精神感応能力(リミピット・チャンネル)』なのかは分からないが――
初めて感じ取った竜具からの『意志』を、ヴァレンティナは静かに受け止めてみた。
――――――――ガイ。
ぽわりと――エザンディスの宝玉に『晄』が灯った。
(……彼はいま『ディナント平原』にいるのですか)
エザンディスが凱の現在位置を教えてくれた。正確には、アリファールの位置なのだが。
そして同時に、凱の行動を一通り把握することができた。
『治水』から始まる戦いはやがて『銃火』へ、時代の律動の裏側へ回帰する。
壊滅寸前の『銀の流星軍・シルヴミーティオ』へ介入したこと。それについては想定できている。戦姫がまだ会得できていない『竜技』の数々を、ディナントの戦いで披露したことも。
(流石はガイですね。『自然現象たる竜技』の根源は、自然力学の『知識』ということを察しています)
エレオノーラと同じ戦姫であるヴァレンティナは、ある程度『銀閃』の竜技を知っていた。
風影と│大気ごと薙ぎ払え≪レイ・アドモス≫の二種類のみ。
――既存のアリファールから凱は竜技の目録を引き出した。
それは、いつでも演奏できるよう準備されていた『曲名』かもしれない。
『銃』という未曽有の兵器を前にして、凱は敵と味方の識別攻撃を可能とする竜技を放ったのだ。
それは――敵の軍勢を押し返し、味方の士気を吹き返し、仲間と呼吸を合わせる、『竜の息』たる風華だった。
大気断熱圧縮から生み出される流星。逆星に与した咎人に、裁きの流星を降り注ぐ勇者。
獅子の『心』と竜の『技』が合わさりしこそ、本当の『力』となる。
次の視界へ切り替わる。
―バートランさんが……死にました――
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ