第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
[13/13]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
思わぬ返答にわが目と耳を疑った。
「ただ俺は……黒竜の化身たる『代理』として、ブリューヌ内乱に介入するつもりはありません。『目に映る人々を救う勇者』として、この件を引き受けたいと申します」
「どういうことなのだ?」
「ブリューヌの『覇』をかけた戦いは、どうしてもブリューヌの人の手で決着をつけなければなりません」
竜具を得た凱の力は、たった一人で国を滅ぼすことも出来るだろう。
だが、それでは国は続かない。生命さえも、そのような恐ろしい力を持ったものに、誰がついてきてくれようか?
「目に映る人々を救う……シシオウ君。君が考えている以上に、それは過酷な『道』なのかもしれんぞ」
「分かっています。俺はその理想の為に、何度も悪夢を見てきました。多分、これからも見るでしょう」
「それがわかっていて、君は引き受けるというのか?」
「はい」
勇者の返事に迷いがなかった。
「現実に全てを救えなくても……一人でも救えることができるはず。それが俺が勇者と信じる『道』だと思いますから」
『道』を信じて進むことこそ、『夢』に近づけると信じて、凱は今まで戦い続けていた。
彼の正義を否定するもの。彼の信念を否定するもの。
それは、これからも続くだろう。
「これしか……俺の生き方は見つかりませんから」
凱の儚げな表情をみたヴィクトールとヴァレンティナは、急に胸を締め付けられるような感覚を覚えた。
我らが夢見た勇者の姿。それが幻想となって消えていくような――
そこで王は一度目を瞑り再び開く。
「話してもらえぬか?この袋小路の状況を打破する『策』を」
王の問いに勇者は静かに返答した。
「考えていることは……いくつかあります」
NEXT
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ