第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Bパート】
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うに、再び革命戦争の頃の混沌へ戻る。
それどころか、下手をすれば建国神話以前……、血で血を洗う、『人』と『魔』の抗争時代にまで戻りかねない。
お互いを認めぬ者同士が際限なく争う――悪意に満ちた時代が。
――獅子と黒竜の輪廻のごとく――
「ブリューヌとジスタートの民の為に……どうか動いてくれないか?シシオウ君!」
ヴィクトール陛下の要件とはたった一つ――獅子王凱への『フェリックス=アーロン=テナルディエ暗殺依頼』だった。
「………………俺は……………」
話を聞き終えた凱は、じっとうつむき、何かを考えるような、もしくは何かの苦痛に耐えるような顔をしている。
「ふん!……気に入らないね!!話を黙って聞いていれば、全部あんたらの始祖サマがやらかした『悪事』が原因でしょうが!その黒竜の尻尾斬りをガイにさせるなんて!虫が良すぎるんじゃないのか!?」
代わって、フィーネがたまらず声を上げた。
「我が国が誇る一騎当千の戦姫は生死不明!銀の流星軍は事実上壊滅!もはや事はブリューヌ国内だけでなく、ジスタート存亡の危機なのです!」
ヴィクトールに変わり、ヴァレンティナが怒鳴り返す。儚げな印象を持つ彼女からは想像もつかない態度だった。
それだけ、事態は切迫しているのだろう。迫る時の中で残された猶予はないのだと。
間接的とはいえ、エレオノーラ=ヴィルターリアのブリューヌ介入に、ヴァレンティナも一役買っている。
自分たちでテナルディエを止めることが叶わず、異端者にして流浪者となった勇者に頼らねばならないことを屈辱に感じているのだろうか。
いや、むしろ『私にとって大切な勇者様』を差し出さねばならない現実に対して、憤慨しているのだろうか。
「薄汚い『国』なんざ!いっそ『猛火』で滅んじまいな!もっとも!普通に暮らす人々に迷惑がかかるのはいただけないがね!」
しかし、フィーネも譲らない。
「『国』がなくては、『民』の安寧と平和はありえないのです!」
「それがあんた達『先導者』の驕りだっていってるんだよ!」
フィーネの言う先導者とは、戦姫、王をはじめとした『人の上に立つ人間』のことだ。
「あまりふざけたことを仰るのでしたら、『不敬罪』で死刑にします!」
「殺れるもんなら殺ってみろ!戦姫サマ!」
ついには互いの武器を突きつけ合い、二人を罵り合いを始める。
「よさぬか、ヴァレンティナよ」
「フィーネもこの場は納めてくれ」
ヴィクトールと凱、それぞれに刺されて、二人は忌々しそうに手から武器を離した。
「これだけ重要なことだ。すぐに答えを出してくれとは……「分かりました、この件お引き受けします」……何!?」
何日か考える時間が必要だと思っていたヴィクトールは、凱の
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