暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
19.生還者対最強妖精
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上空でユージーンの叫びが響くとともに辺りを覆っていた黒雲が晴れ、光を取り戻していく。
侍もこちらの姿を確認するとまた同じ手でくるのかと言わんばかりの呆れた表情を浮かべている。
翅を消し、地を蹴り上げて再び距離を詰める。長刀を振り上げ、ありったけの力を込めて振り下ろす。侍のサラマンダーも両手で持った刀を地面スレスレから振り上げてくる。
これは確実に先ほどの衝撃を生む一太刀だ。今のシュウにあの衝撃を防ぐ手段は持ち合わせていない。しかし、くるとわかっていれば対処することはできる。
二つの武器がぶつかり合う寸前。シュウは左手に持っていた槍から手を離す。そして左手の指を真っ直ぐ伸ばす。左腕が一つの刃になったイメージで振り上げられる刀を渾身の力を込めて振り払う。
衝撃波を生む刀は左手の刃と激突し、大きく左の方向へと弾かれる。
やはりシュウが想像した通りだった。あの刀は、武器と衝突した時にのみ。それに自ら攻撃するために動かしたときのみ衝撃波を発動させるエクストラ効果。それはプレイヤーに直接的なダメージを与える際には発動することはない。
この世界には、もしかするとそもそも体術という概念が存在しないのかもしれない。武器があるのにそれよりもリーチの短い拳や蹴りなどを使う必要性はない。SAOの時でも《体術スキル》を上位層で使用しているプレイヤーはごくわずかだった。だから剣を素手で弾かれることなど全く想定していなかったサラマンダーは驚愕の表情を浮かべながら大きく仰け反る。がら空きの胴体目掛けて長刀の刃が右肩から侵入し、そのまま左の腰のあたりまで抜け切る。

「がはァ───!?」

威力そのものはそこまでなかったが確実な一撃となりサラマンダーのHPを一気に半分近くまで削り取る。続けて、振り抜いた勢いを利用し、先ほど手放した槍を左手で掴み取り、左足を杭のように地面に打ち付ける。それを軸にして槍がサラマンダーの腹部を突き刺した。

「このォ───ッ!?」

無理矢理体を捻らせて侍は槍の中腹へと刀を当てる。凄まじい衝撃が襲いかかり、体が横に流され、槍が吹き飛ばされていく。
体勢が崩された。サラマンダーは最後だと言わんばかりに一瞬にして距離を詰めてくる。
シュウは左手を空を斬りつけ、無理矢理体をサラマンダーの方向へと変える。そしてそのままの状態で右の長刀で斬りかかる。
相手もそれに合わせるように刀の向きを変える。こちらの武器をもう一度吹き飛ばして確実に終わらせる気なのだろう。
長刀と刀がぶつかり合うその直前に───シュウは長刀から手を離す。そして空を切った左手の人差し指を振る。メニューウインドウを開いて記憶と経験、そして感覚を頼りに指を高速で動かしていく。
そして左手で拳を作り力を込めてウインドウを殴りつける。

「───ッ!?」


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