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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
19.生還者対最強妖精
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がシュウの左腕に絡みつく。
「話は執政部の皆から報告があったよ。街でシグルドに勝負を挑まれて一瞬で返り討ちにしたインプというのはキミのことだろ?」
「まぁ……そんなこともあったな」
するとサクヤはさらに体をシュウへと寄せる。
「シュウ君と言ったかな───どうかな、個人的な興味もあるので礼を兼ねてこの後スイルベーンで酒でも……」
美人領主に寄り添われて困りながらも顔を赤めている二人の黒衣の剣士。
リーファはいつの間にかシュウの服をぐいっと引っ張ると、
「だめです! シュウ君はあたしの……!」
その言葉にサクヤとシュウが振り向いて、リーファの顔を見る。そこで我に返ると同時に言葉に詰まった。
「ええと……あ、あたしの……」
言葉の詰まっているとキリトの胸ポケットから小妖精が飛び出して叫んだ。
「ダメです! パパにくっ付いていいのはママだけです!」
「コラ、出てくるな」
キリトがすぐに出てきたユイを胸ポケットの中に投げ入れる。
サクヤとアリシャがキョトンとした顔をしている。するとキリトが一度咳払いをしてから口を開いた。
「お言葉は有り難いんですが───すみません、俺は彼女に中央まで連れて行ってもらう約束をしているんです」
「そういうことなのでまたの機会ということで……」
「ほう……そうか、それは残念」
サクヤは残念そうな顔をしたのちにリーファに視線を向ける。
「アルンに行くのか、リーファ。物見遊山か? それとも……」
「領地を出る───つもりだったけどね。でも、いつになるか分からないけど、きっとスイルベーンに帰るわ」
「そうか。ほっとしたよ。必ず戻ってきてくれよ───彼らと一緒にな」
「途中でウチにも寄ってね。大歓迎するヨー」
そこからリーファはサクヤとアリシャにできるだけ早くグランド・クエストに挑戦してほしいとお願いした。しかし、全員の装備を揃えるのにはまだ時間が掛かってしまうとのことだった。
そこでシュウとキリトがありえない量の十万ユルドミスリル貨を資金の足しにしてくれとサクヤたちに渡した。困惑していた領主二人だったが、黒衣の剣士たちは「もう必要ないものだ」と言っていた。
そして去り際にサクヤ、アリシャ、キリト、シュウにリーファはそれぞれ固い握手を交わした。
そして二人の領主とその配下たちは隊列をなして夕焼け染まる空へと消えて行く。それを無言で見送る。
やがて周囲には、あれだけの激闘が幻だったかのように静まり返り、わずかな寒さを感じて、そっとシュウに寄り添う。
「……行っちゃったね」
「ああ───そうだな」
「なんだか……」
シュウとキリト一緒にいると、この世界ももう一つの現実なんだと思うことができる。
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