ORPHNOCH-灰虚の迷い子-
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過ぎることに思わず思考がストップしてしまった…。
「フンッ…なんと脆弱な…誰も適合者がいないではないか?所詮、資格の無い低脳なクズ共には無理だったか…。」
「…な、なに、あ、あれっ…あれ…!!?」
ふと気づけば、背後から不気味な低い声が聞こえる…海尋は恐る恐る顔だけをゆっくり振り向かせて後ろを確認すると、ついさっきまで人間だったモノである灰を一切避けずにズカズカと踏みしめながら、人間ではないナニカが
近づいてきたのだ。
ソレは全身が先程崩れ落ちていった人間の成れの果てである灰と全く同じ色…灰色一色で染まった精巧な彫像を彷彿とさせる姿をした異形の怪人…否、人類から進化した新人類『オルフェノク』。
「…まだ生きてるのがいたのか………ん?はぁ〜〜〜…こんな偶然なんてものがあるものだな…。」
突き出た下顎から頑丈な針か釘を思わせるような太めの尖った牙を剥き出しにしてる大きく見開かれギョロついた目をした魚を意匠とした兜を被り、口元はその凶暴性を抑えるためと思わしき簡素なマスクで覆い、両肩・両肘・両膝・踵から牙のような突起物が生えており、肩からは魚の尾鰭を模した短めのマントがはためいてる、そして胸の鎧には牙を見せながら大きく開いた魚の口を思わせる装飾が施されている全体的に細長いスマートな体型をしているオニカマスの特質を持つバラクーダオルフェノクは海尋の顔を見るなり、何故か呆れたような深い溜め息をつき、両手を開いて『やれやれ』と言わんばかりの仕草をとる。
「いきなり家を飛び出したかと思えばこんなところでフラフラしていたのか、やはり貴様は不出来なクズだな。」
「…なっ!?なんで!?なんでなの!!なんで…!アナタなのっ…!?」
バラクーダオルフェノクは足下の影を伸ばし、その影を自身の怪物じみた姿とは異なる半裸の四十代後半の人間の男の姿に変化させて言葉を紡ぐ…海尋はその影の人間の姿に驚愕し、力無く地面に尻餅をつき、顔を青褪めさせて全身を震わせた。
「…と、『父さん』…!?なんで、ウソ…こんなのウソだ!!」
何故ならその男は海尋のよく知る人間…そう、彼女を日常的に心無い言葉で苦しめて家出するまでに追いやった元凶である実父・古綱黒行(ふるつな・クロユキ)、その人だったからである。
「全く、貴様はつくづく…!!」
「ガフッ!?」
「私の思い通りの成果もロクに出せん癖に口答えばかりの…!!」
「ぐぼッ…ンゲェエエエ…!!」
「生まれたこと自体が間違いの不良品めがッ!!」
「いぎゃあぁあああああァーーーーーーーッ!!」
影を引っ込ませ、バラクーダオルフェノクはツカツカと早足で海尋の眼前まで迫り、なんの躊躇いもなく彼女の頬に平手打ちを放ち、更に乱暴に髪の毛を掴んで無
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