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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十二話 各々「天王山」奪取に向けて準備します。
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すなわちいざともなれば影の憲兵隊総監として行動せよ、平素は憲兵隊とは別に情報収集に当たれ、というのである。その彼のもとにラインハルトから指令が飛んだ。かねてよりの策にしたがって、ある人物に接触せよ、という物だった。
 そういうわけで、彼は「ある人物」の公邸を訪れたのである。彼の地上車が門前に到着すると、ちょうど門扉が開くところだった。黒塗りの公用地上車が門扉を窮屈そうに通り抜けようとしている。ケスラーが近づいていくと、門扉を守る兵士たちが一斉に銃を彼に向けた。
「お待ちください。私はローエングラム元帥府所属、ウルリッヒ・ケスラー中将。司令長官閣下に緊急の要件があるのです。」
なおも制止しようとする兵士たちに向かい、ケスラーは身分証とローエングラム元帥からの書簡を提示した。ウィンドウが開き、ミュッケンベルガー元帥の不機嫌そうな顔がケスラーの視界に入った。
「私は忙しい身なのだ。高々一中将の申し出にかかわりあっている暇などないのだが。」
彼の苦言にかまわず、ケスラーは窓に近寄ると、二言、三言ミュッケンベルガー主席元帥に話しかけた。元帥の苦み走った顔が一層苦々しくなったが、
「予定が変わった。邸に車を戻させよ。そちらの客人を居間に通しておけ。」
と、180度違う言葉を発したので、幕僚たちも兵士たちもびっくり仰天した。だが、仮にも宇宙艦隊司令長官が冗談で物事を言うはずもない。ましてや謹厳さで名の知れたミュッケンベルガー元帥であればなおさらだ。兵士たちはただちに車を戻させ、元帥はケスラーを伴って邸内に入っていった。
 わずか5分後に、二人は実質一本槍であるが、調度の良い居間の応接セット越しに向かい合っていた。ケスラーは包み隠さず、腹蔵なくローエングラム陣営の立場、そして敵側の目論見を話した後、
「ローエングラム元帥閣下にお味方していただきたい、とは申しません。ですが、これから先に待っているのは明らかに内乱です。閣下は賊に加担し、その内乱を拡大させるおつもりですか?」
「私は帝国軍人として元帥杖を預かり、幾百万の兵を指揮する身である。軽々しくは進退はせぬ。ましてや一介の私情で加担することなどは軍人として恥ずべき行為だ。そうではないか?」
「質問に答えていただけますでしょうか?」
社交界で有れば忌避、忌み嫌われた問いかけに対してミュッケンベルガー主席元帥は明らかな不快さと明確さをもって答えた。
「私はブラウンシュヴァイク公爵に加担することも、ローエングラム元帥に加担することもない。」
「そのお言葉だけで結構です。」
ケスラーは頭を下げた。ミュッケンベルガー元帥の金髪の孺子嫌いについてはよく聞かされていたため、あまりに執拗な説得は逆効果になると言われていたし、彼自身もそう思っていた。
「だが、一言言っておこう。仮に卿等のいずれかが皇帝陛下を弑
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