プロローグ
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美玲は使い魔の蛇の視界を共有して、瑞穂は普通にオレが付けている防犯用の監視カメラで見ていたんだろう。タイミングを見計らって元士郎が脱いだ服の争奪戦をやるんだろうな。やれやれだ。
娘達は最初はオレにべったりだったんだけどな。娘達のリアルラックの低さはオレに似ている。よく事件や事故に巻き込まれて、それを元士郎が弱いなりに頑張ってボロボロになりながらもなんとかする内に惚れて、皆が元士郎にアタックしている。血の繋がりもないから悩むことなく突撃できる。オレは身体の構成が色々と変化しまくったせいで元士郎とは全くの別人だからな。ただな、実の妹である瑞穂にまで狙われているのがな。元士郎、まだ中1なのに。
昔から二人はべったりだったが、義妹達に元士郎を盗られまいと物凄く積極的になった。見ていて楽しいが、既成事実を作ろうとするのは早すぎで危険だから止めている。あと、既成事実ってあまり役に立たないからな。オレを見れば分かるだろう。
だが、それ以上に悲しいのが、家族の中で元士郎は一番弱い、守られる側の存在であるということだ。才能がない、素質がない、ハングリーさがない、何より真骨頂とも言える神器をまともに扱えない。才能も素質もないものが守りに入った時点で壁は超えられない。いつか、現実に打ちのめされて折れる。それでも立ち上げれるかどうかは出会いで全てが決まる。
元士郎がオレにとってのソーナとセラのように、理解して受け止めてくれる人を。まあ、うちの娘達はちょっと不利。なんせ、折る側だからな。そんな相手に絆されるほど、絆される、やべえな、惚れる可能性があるぞ。単純にも程が有るぞ、オレ!?
元士郎の将来に不安を覚えながら10年前を思い出す。
「元士郎、何を探しているの?ここは、私達の始まりの世界の棚?」
世界の狭間で皆が思い思いに次に行く世界を選んでいる中、オレはいつものように過ごしていた。そんなオレに簪が尋ねてきた。
「妹が、オレが命を奪ってしまった妹が幸せに暮らしている可能性。それを探しているんだ。だけどな、妹が存在しているのはこの一冊しかまだ見つかっていない。オレ達の人生そのものの分しかな。オレの周りの何もかもがイレギュラー。それがオレ達の世界だ」
オレがイレギュラーとなるものは他にもあった。魔戒騎士だったり、神器を別の方向性に持っていったりなどの能力面に関するものばかりであった。環境が悪い物でも、それは転生者と呼べる者達の行動によってだ。
「吹っ切ったと思っていたんだけどな。これだけの量を見たら、どうしても気になっちまってな。だけど、やっぱりないのかな。名前すら知らない妹がまともに暮らしている世界」
「やり直しとは言わないけど、貴方が自身がまともに暮らせるようにしてあげればいいとは思わない?」
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