プロローグ
[1/4]
前書き [1]次 最後
ダメだ、死ぬな、頼む、消えるな、オレの傍にいてくれ。腕の中で弱っていくオレの唯一の光が消えそうになる。オレの力が足りないから。
『力が欲しいか?』
誰だ!?
『妹を救うだけの力が』
欲しい!!オレはどうなろうとも、妹が救えるのなら、何だって差し出す!!
『ならば助けを、大声を出せ。それでお前と妹の運命は変わる』
オレは腹の底から、オレから光を奪おうとする男のように叫びを上げる。
『運命は変わった』
「オレが助けに来てやった」
「怪我の具合はどうだ、元士郎?」
地下にある射撃場に親父がやってくる。
「親父か。違和感はないよ」
「そいつは良かった。で、怪我の理由は?」
「火力が足りなかった。表皮を撃ちぬけなかったから、口の中に突っ込んで叩き込んだ」
「まあ、それが今の銃の限界だろうな。今回のやつははぐれでも障壁が堅いやつだったからな」
親父の言うとおりだ。これが今のオレが扱える銃の限界。相手は中級のはぐれなのにだ。親父に頼めば簡単に強くしてくれる。それこそオレが想像する以上の力を与えてくれるだろう。だが、それでは駄目なんだ。オレは人間のままでいなければならない。妹のためにも人間であらねばならない。
親父が複雑そうな目でオレのことを見てくる。そうだよな、妹のために何だって差し出すって言ったのに、人間であることを止めないんだからな。そりゃあ複雑だろうな。
「とりあえず、弾の炸薬はこれ以上増やせないから弾頭の方に細工を施そうと思うんだけど」
「単純に弾頭の金属を変えると更に予算が必要になるぞ」
「う〜ん、どうするかな。とりあえずはホローポイント以外に徹甲弾頭も使うしかないのかな?」
「法儀式の効率化も考えてみろ」
「今以上の法儀式なんてありえるのか?」
「所詮は単独宗教での儀式だ。ヴァチカン式は確かに強力ではあるが、他の術式との相性は最悪だ。カバラ式に神道や陰陽道を活用した方が拡張性はある。他にも色々あるが、まずはそこからだな」
「時間は掛かりそうだよな。とりあえず徹甲弾の方はお願いしてもいいかな」
「それぐらいは用意してやる。それから、刀身の方はそろそろ寿命だ。砥は済ませてあるが、いつ折れるか分からんぞ」
親父が懐から4本の片刃のナイフを取り出して手渡してくる。それを受け取って銃の先端の上下に固定する。2丁共、取り付けた後に軽く型を確かめる。
「足開きすぎ、脇も開きすぎ、腕を振りすぎ」
親父が駄目な部分を指摘してくれるので最適化を行っていく。
「やっぱり怪我を無意識に庇ってるな。違和感があるんだろう。服を脱げ」
シャツを脱いで親父に背中を向けれ
前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ