黒衣を狙いし紅の剣製 06
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
モーント家の主もショウ達と同様に技術者であったな。より良いものを作りたいのでレーネ殿に聞いた方が良い気もするが、あの人は急に予定が変えられるほど仕事がないわけではないからな。むしろ詰め過ぎなくらいだ。
「な……不味いですよそれ!」
ティアナは血相を変えたかと思うと、こちらに近づいてきた。そのただならぬ雰囲気に我らの動きは止まり緊張感が流れ始める。
「ティアナ、何が不味いんだよ?」
「何がって……ノーヴェあんた居たの」
「おい、確かに左右を挟まれてる状態だがそれはねぇだろ」
「ちょっと黙って。あんたに構ってる時間が惜しいから」
ティアナの態度にノーヴェの表情が不機嫌になる。が、さすがに水を差していい空気ではないと思ったのかノーヴェは何も言わなかった。
「ティアナよ、いったい何があった?」
「ディアーチェさん達にはこの前ナハトモーント家についてもっと調べてみるって言いましたよね?」
「ああ……まさか」
「そのまさかです。十中八九、ショウさんが感じてた視線の正体にはナハトモーント家が関わってます」
ティアナはそう言うと、これまでに掻き集めた資料を次々とテーブルに並べる。
「色々調べて分かったんですが、グリードという男は結婚も離婚もしてません。そのうえ誰か養子に引き取ったことも確認できませんでした」
「え、でも確かクロエって子供がいるんだよね?」
「はい、それは間違いないと思います。ただ今言ったようにグリードという男の子供ではありません」
実子でもなければ子供でもない。となれば……考えられる答えはふたつ。
ひとつは身寄りもない子供や他人の子供を誘拐し、身体・精神的に負荷を与えることで言うことを聞かせている可能性。そして、もうひとつは……
「それとこのグリードという男、これまでに犯罪歴はありませんが数年前……具体的に言えばJ・S事件終了後あたりから人気のない研究所に足を運んでいました。その研究所はすでに破棄されていましたが……そこで行われていた研究は」
「……人工的な生命に関わるものか?」
「はい」
不味い……これは非常に不味いぞ。
今聞いた話だけでもグリードという男は数年前からショウのことを狙っていたと考えられる。詳しい理由まで分からんが、人工的な生命に関する研究は倫理的に禁忌とされているものだ。
研究に携われる人間ならその研究が犯罪であることは知っているはず。これまでに罪を犯していない者がそれを犯すとなれば、私怨だとしても強い感情だろう。
「私が調べた限りではグリードという男に魔導師としての力はありません。ですが……」
「人工的に作られた……クロエという少女は魔導師としての力がある可能性が高いか。このことをショウは知っておるのか?」
「いえ……報告しよう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ