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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十話 願い
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「管理局が敵となりゃ、俺やあんたでも手に負えねぇぜ?」

「多少の犠牲はやむを得ないわ。 ジュエルシードのために、私のために、その命を使いなさい」

 ようするに、文字通り俺は命をかけて戦えって言われてるわけだ。

 流石、俺のことを玩具程度に思ってるだけはあるぜ。

「だが、俺の命だけでどうにかなるとも思えねぇけどな?」

 そう。

 さすがの俺でも、管理局なんて組織相手に戦って命捨てたところで、なんの成果も得られねぇだろう。

 んなこと、言わなくたってわかってるはずなんだがな。

「あら、あなただけではないでしょう?」

「……はは」

 プレシアの言いたいことを理解した俺は、込み上げてきた感情を素直にだした。

 面白い。

 この女の頭ん中は、ホントに面白い。

「まさかあんた、自分の娘の命すら捨て駒にしてたとはな。 娘の前じゃ素直になれねぇ母親って思ってたが、まさかそこまでとはな」

 本人に対して直接言わなかったとしても、この女は自分の娘……フェイト・テスタロッサに、命を捨ててでもジュエルシードを手に入れろとのご命令だそうだ。

 狂ってる。

 人として、生き物として、親として。

 あらゆる面で、この女は狂っている。

 しかも本人にその自覚があって、しかしそんなことどうでもいいと言わんばかりに貫いているんだからタチが悪ぃ。

 だが、俺はこういう人間が嫌いじゃない。

 普通で平凡な人間を見ているよりは、こうやって狂いに狂った人を見ている方が何百倍も面白い。

 この女が狂いの果てに何を見出すのか、この目で見てみたい。

 それに、俺は俺で俺の中にある狂いを解き放てるのだから一石二鳥だ。

 俺は殺し合いを求め、プレシアは全ての命を犠牲にしてでもジュエルシードを求める。

 俺たちが求めるものは、もうちょいで揃いそうだ。

「あれはあなたと同じ、私の願いを叶えるためのただの道具。 叶えてくれないならただのゴミよ」

「そうかい。 あんたが娘を毛嫌いしてんのは分かった。 そっちの事情はどうでもいいしな」

 プレシアがなんであいつを嫌うのかなんて興味がない。

 聞いたところで俺に関わるものでもないし、俺なんかじゃ同情すらできねぇ。

 聞くだけ時間の無駄ならしない。

 それに俺は、ただこの女の願いを叶え、狂いの果てを見届けるだけだ。

 そう思いながら俺はプレシアに背を向け、この部屋を後にする。

「あんな子、どうでもいい。 私が大事なのは、ただ一人の娘だけ――――」

 プレシアのか細く小さな声が聞こえた気がした。

 だけど俺はその言葉の意味を考えることはなく、無視して部屋を後にした。

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