青頭巾
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言語は同じなのに言葉が通じない青頭巾は、岩戸閉めることなく出て行った。
「あぁきもい、あの医者きもい、きじとら!塩撒いておけ!!…きじとら?」
奉がせわしく洞の中をウロウロし始めた。普段から他人への関心が薄い奉にここまでの嫌悪感を抱かせた相手だ。…俺だって鳥肌が立つ程気持ち悪い。…きじとらさんは、何処にいるのだろうか。ともかく、塩撒いたところでああいう手合いは来るときは来るし、撒く意義が全く見いだせないので、きじとらさんが出てくるまで冷え切った体を炬燵で暖めることに
「………いたい」
炬燵に足を突っ込むと、ぎゅむっと柔らかいものを踏みつけた。
「ぬ!?」
ばっと炬燵を捲ると、端っこのほうできじとらさんが丸くなっていた。…信じられん、頭すら出てない全部入りだ。猫か。
ああ、猫だった。
「今日は冷えるからねぇ」
奉は事もなげに、自ら塩の壺を掴むと中身をオーバースローで洞の外に撒き始めた。
本当に、苦手なタイプだったらしい。
きじとらさんは捲りあげたこたつ布団を丁寧に戻すと、再び軽い寝息を立て始めた。
…なんだ、ここでも寝るようになったのか。
安堵によく似た、軽い痛みが走った。あの医師に気付かなかったのならば、本当に良かった。
―――なあ奉よ、本当に休戦でいいのか。
俺はあの医師の、屈託のない微笑を思い出した。
それは俺が初めて見る、シリアルキラーの微笑だった。
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