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SAO−銀ノ月−
鋭二
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 どうやらその機動性の差を活かしたヒットアンドアウェイによって、こちらのスタミナを削る魂胆らしいが、わざわざ相手の土俵に乗るようなことはなく。挑発にも乗らずに、次に向かってきた時にカウンターを決めてやると、その場に立ち止まって日本刀《銀ノ月》を構えたものの。

「動かなければ死ぬだけだ!」

 そんな俺の眼前に、スカルリーパーの鎌が迫る。まるでエイジに操られているかのごとく、スカルリーパーの鎌は俺の体勢を崩すように鎌を振るう。もちろん避けなければ死ぬだけだが、横っ飛びしたその場所には――

「くらえ!」

 こちらをかく乱していたエイジが振るう刃が、俺が避けた場所を予知したかのように、こちらへ走り抜けながら放たれる。スカルリーパーの攻撃で体勢を崩した俺にその一撃を避ける術はなく、よくて相討ち狙いのカウンターか、というところに、エイジの側面からキリトが飛び込んでくる。

「ショウキ!」

「くっ……」

「せやっ!」

 側面から放たれたキリトからの文字通りのタックルに、エイジもたまらずコンクリートの大地を転がると、そこに俺の追撃の日本刀が振るわれた。それはすぐさま起き上がったもののエイジの肩口を斬り裂き、追撃は叶わないものの確かなダメージを与えていた。

「キリト!」

「ああ!」

 そのまま後方に跳んで逃げるエイジを追撃しようとした俺たちの前に、やはりエイジを庇うようにスカルリーパーが立ちはだかる。どうしても最後の戦いがフラッシュバックしてしまい、恐怖にすくみそうになる足を無理やり動かし、キリトよりも前に出てスカルリーパーと単身で対峙する。

「ッ――!」

「スイッチ!」

 確かにアレは恐怖の対象であり、今でもあの最後の戦いを忘れたことはない。しかしてそれ故に、あの悪魔のような鎌の軌道も俺の目に焼き付いていた。スカルリーパーから振るわれた二対の鎌を弾くように斬り払いしてみせると、俺の背後で待機していたキリトがその隙にスカルリーパーの懐に飛び込み、一太刀でその首を斬り落としてみせた。

「な……」

「こんな小細工は止めた方がいいぜ」

 断末魔の声すらあげることもなく、斬り落とされた首から残った身体という順で、スカルリーパーはポリゴン片と化していた。その一瞬の出来事を見ていたであろうエイジが、俺たちに聞こえるように驚愕してしまうほどの速度だったらしい。そこから放たれたキリトの挑発めいた言葉に、エイジの表情は歪んでいく。

「……お前らは怖くないのか? あの《SAO》のボスと戦って」

「何?」

 怒りで拳を握り締めながらも、何とか理性を保とうというように、エイジはこちらに問いを投げかけてくる。さらにこちらが答えを返すより早く、さらにエイジの怒声は続いていく。

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