鋭二
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《SAO》の記憶を失ったにもかかわらず、目の前でSAOボスがプレイヤーを蹂躙するのが記憶を刺激するのか。詳しいメカニズムも分からない以上、俺にはリズの恐怖をどうにかすることは出来ないが、せめてもとその震える手を握っていた。凍えるように冷えたリズの手は、俺の手のひらの中で小刻みに震えていたものの、温度が伝わっていくとともに収まっていく。
「アスナを頼む。守ってやってくれ」
「……任せなさいっての」
『皆さん、フルダイブの準備が出来ました!』
リズが小さいながらもいつも通りに笑っているのを見て、こちらも自然と頬が緩んで笑い返してしまう。それと同時にユイの声が響き渡り、リズの手を惜しみながら放すとその言葉を放つ。全てを始めさせた言葉であり、全てを終わらせる言葉でもあるその言葉――
『――リンク・スタート!』
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