鋭二
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ど、クラインが止めようとしてくれて」
蘇生アイテムで自らの大切な人を蘇らせる為に、実際に俺とキリトはモンスターも交えた殺しあいにまで発展した。それは今のエイジが、ユナを蘇らせようと取っている行動と、何ら変わりはなく。さらに俺たちにとってのクラインのように、止めてくれる大事な人がいるにもかかわらず、エイジはまるで止まる気はない。
「だから、今度はクラインの代わりに。間違ったことをしてる奴を止めてやりたい」
「……俺はそんな風には思えない。アスナたちの記憶を取り戻すだけだ」
ユナからの頼みを聞いたかどうかもあり、もちろん俺とキリトで考えていることに差はあるものの、どちらもエイジが自分たちがたどってきた道を進んでいると感じていることに間違いはなく。到着したエレベーターに乗り込みながら、キリトは一息吐いてユイに向き直った。
「大切な人を取り戻そうと思うことは間違っちゃいない。でも、それが誰かを犠牲にするようなら、ユイもそれを止めてあげてくれ」
『……はい! 頑張ってください、パパ! ショウキさん!』
力強く頷いたユイの表情には、もはや先程までの憂いがこもった感情はなく。そうしてユイはキリトの《オーグマー》の中に戻っていくと、同じタイミングでエレベーターは目的地へと到着する。どうやら《オーディナル・スケール》での戦いの邪魔にならないように判断したらしく、ユイの声援を心に刻み込みながらエレベーターを降りた。
そうして広がっていた景色は、充分な広さのある地下駐車場。とはいえ今は使われていない場所なのか、ドームに現れた人間の数や華やかさと反比例するように、ジメジメとした湿気が漂う薄暗い場所だった。旧式の電灯だけでも点いているのが幸いといったところか、ひとまず視界が悪いということはなく。
「ノーチラス……!」
俺たちをここに呼んだ張本人。キリトが怒りとともに呼び掛けた、柱にもたれかかって精神統一でもしているかのような、ノーチラス――エイジがゆっくりと目を開けた。そうして柱からゆっくりと歩き出して、俺たちと適度な距離を取って対面する。
「……今の俺はエイジだ」
「そんなことはどうでもいい。返してもらうぞ、みんなの記憶!」
「……おい」
落ち着け、という意味を込めてキリトの肩を掴むと、キリトの代わりにエイジの前に立つ。能面のように無表情なエイジからは、まるで感情というものが読み取れない――というより、無理やり感情を圧し殺しているようだった。
「止められないのか? 前も言った通り……」
「止める気なんてない。前も言ったはずですが」
「……」
悠那からエイジを止めて欲しいと伝えられた手前、キリトのように敵意を剥き出しにする訳にもいかず、返答が分かりきった問いかけを
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