第41話<タフガール再び>
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許可が下りた。聞こえるか?」
『ぽいっ!』
直ぐに反応があった。
「思った以上に元気そうだな、夕立」
私は呟いた。
そのとき日向が叫ぶ。
「来ます!」
既に軍用車は数百メートル南へ即ち鎮守府へ向けて走っていた。そこへ遥か前方に漂っていた敵機が軒並みこちらへ向かってくるのだ。
日向は照準もソコソコに機銃を構えると射撃を開始した。
再びガガガという機銃の発射音。キンキンという音と共に無数の薬莢が車体から路面へと、ばら撒かれた。
艦娘仕様の機関銃が普通の機銃とは違う感じは、この軍用車のハンドルが、かなり振られるので分かる。
恐らく威力があるから反動が大きい。つまり射撃するだけでも安定させるのが難しい。
それを走行中に保持しつつ真っ直ぐに射撃する日向。路地での敵への蹴りも凄かったけど日向の足腰は半端ないな。
同時に彼女は機銃本体の固有振動……つまり反動も考慮しながら銃の特性を加味し最も効果的なポイントを探りながら撃つ。
そんな彼女独特の手綱捌きの感覚が伝わってくる。そこが夕立とは違う点だ。さすが戦艦クラスだ。
私も、しっかりハンドルを固定する。だがアクセルは離さない。前方の敵機はチカッと一瞬、光ったかと思うと幾筋もの光の筋を放つ。
ブーンという聴きなれない不自然な音を立てて通り抜ける光の筋。次の瞬間メリメリという音を立てながら車の左右の道路がめくれ上がっている。同時にアスファルトが宙を舞う。
信じられない光景だが私も日向も不思議と落ち着いている。戦場では常軌を逸したことが起こりがちだ。何が起きても不思議と気に留めないのだ。むしろ気にしていたら戦えない。
日向は、ひるまず真っ直ぐに撃ち続ける。上空で併走していた瑞雲も急加速して先行。それぞれに個別の敵を迎撃し始めている。
私は車体を直線に保ちつつ前方から来る敵の光線や、めくれたアスファルトの塊が私たちを直撃しないよう小刻みにハンドルを左右に振り続けた。
夕立なら『おえぇ』とか言いそうだ。しかし銃座という重心の高い不安定な場所に居ながら日向はビクともしない。さすがだ。
彼女のパン○もチラチラするが、もはやそれを気にしている次元ではない。まぁこういう修羅場では些細なことは、お互い気にしないということだ。
……でも私の隣の深海棲艦(大井・仮)は意外に長い髪を後ろになびかせて最後のサンドイッチを片手で無言で食っている。神社の境内でのバテ振りが今は嘘のようだな。こいつもタフだということか。
「よし!」
日向が叫ぶ。立て続けに前方および側面の敵機がズゴンという激しい爆音を立てながら空中で分解していく。
なぜかその光景がスローモーションに感じられ同時に私は
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