第一話。全てが酷かったので青空を見上げました
[9/11]
[1]次 [9]前 最後 最初
。
定時の前に仕事を終え、分け前を貰って、税務長官のイスより降りた。
少なくても結果のみを見れば、ライの税務の仕事は完璧以上の成果をたたき出していた。
「金になる話だな」
そういったライは青空を見上げる、まだ定時の為に夕方が遠い時間帯なのだ。
カスラもつられて空を見る、澄み切った青空が広がり、雲一つもない晴天で有ったが、直ぐに雲が現れる。
(ライとなら生きていけそう、大変だとしても楽しい)
カスラはふとそう思う、隣を見れば少女のように目を輝かせて空を見る友人がいた。
「ライ、よろしく」
これにライは虚を突かれてカスラを見る、にこりと微笑むカスラに、ライも微笑んで手を出し、これをカスラが握った。
「ライ・ハルカだ。よろしくな。カスラ」
再びの自己紹介を交えて二人は歩き出し始めた。
城塞都市ロギオンの嵐のような日々が過ぎ、ライ&カスラのコンビが、政務より夜の街に繰り出し、最初に訪れた服屋、それも高価そうな夜の店専用の服屋に現れる、嫌がるライを捕まえて現れたカスラが店に放り込み。
「金は払うわ」
豪放磊落のカスラと知られる剛の者だが、ライの服装だけが受け入れられずについに我慢の限界に達したらしく、店の女たちも直ぐにライに群がり、服を剥ぐと、沈黙が流れる。
「何?」
沈黙。
カスラも困惑する沈黙に、店の女たちが離れると、ライにはある物があった。
股間に男性の性器が付いている、これにはカスラも絶句。
店の女たちも困惑し、ライは初めて顔を俯かせ、カスラは言葉を失い、少ししてライは自分で服を選び、女物と言えるような格好に変え、下着も買い揃えた。
黒い裏地の白い長手袋に、白いハーフカップのブラウス、白いコルセットに、白いミニスカート、その下に赤に近い紫色のミニスカート、黒いガーターベルトのハイソックス、白いロングブーツ。
容姿が大変に良いライならではの服装趣味かも知れないが、店の者も一流と云える様な美貌の美女となる。哀しい顔で金を支払うライに、店の女たちも言葉がない。
「終わったぞカスラ」
言葉がないカスラはライを見る。
非常に映えながらも、それは永遠にどちらにも成れない、両性を持つ性別の第三とも言うべき人物であった。
「店に行こう。そこで話そう」
ライが震える手でカスラに手を出し、カスラは友人を傷つけてしまった事を激しく後悔し、歯がぎりっとなり、ライの震える手を握る。
「大丈夫よライ。私が責任を取るわ」
これに顔を俯かせていたライが顔を上げ、目には涙が浮かんでいたのが、カスラにもよくわかってしまう。確かにこんなライを受け入れる人は早々にいない。
強引に手を取って、強引に店に
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ