第一話。全てが酷かったので青空を見上げました
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焼きそばを一つ」
暇そうな若い少女ともいえる女将に言うと、金を受け取る前に作り始めた。
これに二人は微かに驚き、じっと若い少女を見ていた。
直ぐに作られた焼きそば、ソースはないので、塩のみとなるとすまなそうに説明した少女に二人は頭を下げてから食べ始める。
「二人とも箸をお使いになるのですね」
二人に声をかけた少女の女将、二人も頷いて応じ、軽い焼きそばは直ぐに消えた。
「ライ・ハルカだ」
「カスラよ」
二人して名乗り、微かに若い人物が速く、カスラと名乗った若い女は嬉しそうに頷いて休み出した。
「女将テーブルを借りるぞ」
少女に言うと寝息を立て始める若い人物、ライ・ハルカと名乗った若い人物を、女将は微かに唇をほころばせながら、金を受け取った。
翌日の早朝。
「おはようカスラ」
声を出したライに、カスラもうっすらと目を開いた。
「今日は仕事があるはずだ。探しに行くぞ」
そういったライは席を立つ、カスラも後を追うかのように席を立った。
朝から静かな都市。
金のありそうな建物の中にライが入り、カスラも躊躇うが後を追う。
中には煙草、麻薬、女を売り買いする奴隷商人達がたむろ。
ライが一人の奴隷商人の前に立つ。
奴隷商人は苦笑し、腰元の剣に手を伸ばした。
「ゴミを貰えないか」
奴隷商人はますます苦笑し、近くのごみを拾い渡した。
「拾うのは大変であろう?これだけの館だ」
奴隷商人達はびくりと腰の剣を取ろうとするが、年配の奴隷商人が笑い、若い女性に見えるライに言う。
「大変だな。奴隷にさせる仕事としても」
「であろう。仕事人を紹介するぞ。年配の女性だ」
奴隷商人は考え、強く頷いた。
「カスラ。老婆を呼んできてくれ、急がずにな」
カスラも強く頷いて去る。
「奴隷の服は高かろう。安く作るぞ」
奴隷商人達は引きつるも、一人が頷いた。
「服の洗濯も大変であろう。仕事人を紹介するぞ?」
これに奴隷商人達は苦笑から驚きと変わり、ライをまじまじと見る。
白髪の、褐色の肌の、美貌の若い女だ。しかし、瞳には怒り、纏う空気は怒り、何に対して怒っているのかは分からずにいても、怒っている事は、見ればわかる。
「料理の洗い物、これも大変であろう」
奴隷商人達は茫然とライを見る。
若い女にありがちな暴力でもなく、相手が困っているのなら金次第で引き受ける、そんな臭いを醸し出す、商人の匂いがした。
「積み荷が入るまでも忙しかろう」
奴隷商人が笑い出し、剣から手を離した。
「商売をする気はあるか奴隷商人達」
奴隷商人達
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