第一話。全てが酷かったので青空を見上げました
[1/11]
前書き [1]次 最後
その日。全てが変わったその日。
「ちわっす」
とある都市の城門の前に立つ若い男に声をかけた一人の人物。
「お、おう」
「仕事ない」
若い男は直ぐに交渉に入るかのように書類を見せた。
「これだ」
受け取った人物は、その書類を見て嘆く。
「な」
声を出す若い男に、その人物は言う。
「昼間からこんな場所で娼館の勧誘か」
若い男は面食らい、人物をまじまじと見る。
褐色の肌に、くびれのある腰である、かつ白い白髪の長髪、見かけは若い女性で、誰が贔屓目の反対側でも美貌の女性だ。スリーサイズは誰がどう見ても喜ぶが、その眼には怒り、受け取った書類を握り、若い男の目をじっと、歯をギリギリと怒らせて睨む。
「金になる訳がない」
若い男はうなだれる。若い人物の発言は、余りにも若い男の先を読んでいた。
「他の仕事は、お前のだ」
周りの他の娼館の男たちも声がない。見かけが若い女性は、娼館の事よりも声をかけた若い男の先を案じるかの声に響き、声をかけられ、書類を渡した若い男が口を開く。
「・・ない」
これに若い人物は書類を握りつぶす。
「ない?」
声にならない怒りの一声。
「お前。幾つだよ」
若い男は躊躇うが歳を言う。
「そんな都市でこんな小銭より酷い仕事か?」
周りの男たちも言葉がない。
若い男は何も言えず、周りの兵士も声がない。
「ゴミ以下の仕事がそんなに良いか?」
「仕事がないんだ」
若い男が絞り出すように声を出した。
他の男たちもうなだれて頷いた。
兵士達も視線を外した。
「OK。OK」
遠い国の言葉を話す若い人物が目をつぶる。
「ゴミ以下の仕事をこんな若者に与える酷い国だな」
周りが自然と視線を集めるかのように、怒り、義憤と言うべき怒りの雰囲気を纏う若い人物。
「OK」
若い人物が書類を返す。
「ちなみにだが、先程から観察させてもらったが、誰か通ったか?」
さらに声が消える。
水滴を荒波に一滴垂らすかのように意味のない問いかけに、若い男は疲れた顔で横に顔を動かした。
「OK。ゴミ以下の仕事をありがとう」
若い男は苦笑する。疲れ切った若い男の使うまでもなかった真新しい書類の束の入ったケースがぎりって音を立てるも、握られた。
「こんな仕事は捨てろ、他の職に変えなくては明日はお前がゴミになるぞ?若いだろ?」
若い男は何も言えず、ただへらへらと笑う。
「明日、もう一度来る。仕事を探してやるから替えろ」
若い男は目を大きく見開き、大きく頷いた
前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ