巻ノ九十三 極意その二
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立花は唸ってだ、こんなことも言った。
「見事、これならばな」
「はい、あとですか」
「少しでじゃ」
まさにというのだ。
「免許皆伝じゃ」
「そこまで至りますか」
「うむ」
実際にというのだ。
「そしてじゃが」
「はい、その時は」
「帰ってもな」
「修行を続け」
「より強くなれ」
こう言うのだった。
「わかっておるな」
「無論です」
望月の返事は淀みがなかった。
「その時は」
「ではな」
「修行は続けます」
「何処までも強くなってな」
「そのうえで」
「真田殿をお助けせよ」
「我等十人はです」
その幸村を見てだ、望月は答えた。
「殿とです」
「常にじゃな」
「いてお護りし」
「死ぬ時もじゃな」
「共と誓いましたので」
それ故にというのだ。
「そう思っていますので」
「ではな」
「はい、お助けしていきます」
免許皆伝となってもというのだ。
「修行を続け」
「そうせよ、ではな」
「はい、これよりですな」
「また修行をする、してじゃ」
「して、とは」
「こうした技は知っておるか」
ここでだ、望月はというと。
立花を投げようと前に出た、しかし。
立花は身を屈めた、それだけでだった。
望月は後ろに投げられた、その途中で宙返りをしてそのうえで着地をして難を逃れたがそのうえで立花に驚きの顔で言った。
「今のは」
「空気投げじゃ」
「立花殿は何も」
「しておらぬな」
「はい、何も」
「しかしじゃ」
「こうした技もあるのですか」
「相手の動きを見極めてじゃ」
そうしてというのだ。
「その力を使ってな」
「手を使わずにですか」
「投げる技もあるのじゃ」
「危うく背から落ちるところでした」
「御主でなければそうなっておった」
実際にというのだ。
「途中で着地するなぞもな」
「とてもですな」
「出来なかった」
そうなっていたというのだ。
「よくそう出来た」
「いえ、しかし」
「それでもか」
「危ういところでした」
「しかし受身を取れたのは事実」
立花はこのことを言った。
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