節目の日
昼2
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3人でぐだぐだと無駄口を叩きながらも、本日の掃除は終了。ほどなくして、今年最後の生徒さん、神通さんと岸田のアホが来校した。
「みなさんこんにちは! 今日もよろしくお願いします!!」
「こんちわ〜。今日も来ましたよ〜」
今日の予定では……俺が担当する岸田のアホはスタイル設定の活用方法の一つ、目次の作成だ。神通さんの方は、条件付き書式を学ぶらしい。
「では岸田さんはこちらへ……」
「神通はこっちだな」
「はい」
教室の二つの島に分かれてそれぞれ別に座る。俺と岸田のアホは窓際だ。太陽の光が当たり、この季節はぽかぽかと暖かい。俺は岸田のアホを席につかせた後、PCの電源を入れる。このアホが太陽のぬくもりに包まれて、眠くならなければいいのだが……
――貴公っ!
何やら頭の中に、ソラール先輩のテレパシーが聞こえた気がした。気になって先輩の方を見てみるが、2人は仲良さそうにExcelの画面を眺めていて、先輩がこちらの様子を伺っている素振りはない。ということは、このテレパシーは俺の幻聴か? もう少しその声に心の耳を傾けてみた。
――貴公も、太陽の偉大さが理解出来たようだなっ!
うわー……嬉しそうな声してるなー……もう『貴公』の発生の仕方だけで、口角が上がって上機嫌でニッコニコしてるのが分かる発音だよー……。確かに冬場の太陽のぬくもりは心地いいけれど、それって勉強中は天敵なんですよ。
――確かにぽかぽかとあったかいですが、今はいりません
――貴公……
俺の心の声の拒絶を聞いた妄想ソラール先輩は、実に落胆した声を上げた。改めて先輩と神通さんの様子を眺める。
「……じゃあまず手始めに、計算結果がプラスになるところは、背景が太陽色になるように……」
「せ、先生!? 突然がっかりしないでくださいっ……!?」
「……」
……あの声、まさか本人が俺の心に直接語りかけていたわけではあるまいな……?
「ところで先生、今日は何をやるの?」
「……ああ、中断してたWordの使い方をやります。なので、前回のオリジナル小説をひら……ぐばってしておいて下さい」
「はいよー」
「もしナビゲーションウィンドウが表示されなかったら、それも表示させておきましょう」
俺がソラール先輩の幻聴とキャッキャウフフしている間に、岸田さんのパソコンは立ち上がっていたらしい。岸田のアホに促され、俺は岸田さん作の小説をひら……ぐばってしてもらった。
「ところで先生」
「はい?」
「開くでいいから」
「そういうことは早く言って下さい」
岸田のアホに気を使ってた自分が恥ずかしい……。そういうことは、早く言ってくださいよ岸田さん。
岸田さんによって展開されるオリジナル小説『殉教者の魔弾
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