節目の日
昼2
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「ほんほ〜ん……ふふんふん〜♪」
汚らしい鼻歌が聞こえているが、あえてそこは突っ込まずに見守ってやろう。本人が上機嫌なことと、鼻歌がダーティーこの上ないことは無関係だ。
「燃料・弾薬・鋼材・ボーキの集積地もキチンと下向き矢印……出来ました……先生、出来ました!!」
「よし! さすがだ神通! 貴公も、太陽のようにでっかく、熱くなったな!!」
「そんな……先生の、太陽のように熱く、粘り強い指導のおかげです!!」
「神通……俺だけの太陽……」
「先生……いや、提督……私の……私だけの提督……!!」
あの2人の方から、そんな聞き捨てならない声が聞こえてくる。はいそこー。まだ昼間ですし俺たち部外者もいるんですよー。臆面もなく自分たちだけのあったかい太陽艦隊戦ワールドを展開しないでくださいねー。見ますよー。俺と岸田さん、ガン見しちゃいますよー。
そもそもさー……2人だけのすんごくロマンチックな時間のはずなのに、言ってることがなんかおかしい気がするんだけど……
――俺だけの太陽……
――私だけの提督……
いや、ソラール先輩にとって太陽ってのが特別な意味を持ってるのも分かるし、以前に川内が『提督は艦娘みんなのあこがれ』て言ってたし、2人にとって、それが最大限の賛辞で、愛情の意思表示だというのは分かってますよ? でもさー……なんかこう、釈然としない。臆面もなくこんなところで意思表示しあってるからか?
「先生、出来たよ」
不意に岸田さんに声をかけられたので、慌てて画面を覗いてみる。Wordのウィンドウとは別にpdf閲覧ソフトが立ち上がっていて、そこには、先程岸田さんがpdfとして出力したと思われる、作:岸田さんの小説『殉教者の魔弾』の一節が表示されていた。
「おお、pdfにしたんですね。動作確認ですか?」
「いや、これはぜひ、先生に読んでもらおうと思って」
……ほわっつ?
「えーとすみません……今、何と?」
「だから先生に、俺の話を読んでほしくて!!」
そう言って岸田さんがちょんちょんと指差す画面には、総ページ数183ページ、文字数にして16万字もの表示が、すみっこで小さく、しかしギラギラと激しい自己主張をしていた。
「え、えーと……あ、ありがとう……ございます……」
「読んだら感想を聞かせてくれ! あ、もちろん直接じゃなくて、掲載サイトで!!」
……いや、そこは直接本人に伝えるのはいかんのか? とはいえ、俺に自分の作品のデータを進呈しようとする程度には、俺のことも受け入れてくれたようだ。その点は素直にうれしい。
「ところで先生」
「はい?」
「これだけ色々と紹介してくれて、本当に感謝してる」
「はぁ」
唐突に真顔になり、突然こんなしお
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