節目の日
昼2
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深い気持ちを抱いていると、画面に目次ダイアログが立ち上がった。
「おお。ここで細かい設定が色々デキそうだ」
「ええ。でも今回は、ウィンドウの右側を見て下さい。『ページ番号の代わりにハイパーリンクを使う』って項目がありますから、そこにチェックを入れてみましょう」
「これだねー。えいっ」
……白状する。今の、この岸田さんの『えいっ』て感じのカワイイ言い方、妙にイラッとした。……だからさー。ドヤ顔でこっち見るのはやめてくれって。
「チェックを入れたら、そのままOKをクリックしましょう」
「はいよー……。うん。目次が入ったね」
「入ったら、ちょっとそこにマウスを持ってきてみて下さい」
「はいさー」
本当に従順になったな……これもロートレクさんのタイピング・ブート・キャンプのおかげか? 岸田さんは言われたとおりに目次の項目の一つをマウスでポイントした。『Ctrlキーを押しながらクリックでリンク先を表示』というメッセージがぼやっと浮かび上がる。
「先生、これは……?」
「コントロールキーを押しながらクリックしてみて下さい」
もはや俺の神経を逆撫でするアホの岸田はどこへやら……俺の言葉に対してすっかり従順になった岸田さんは、俺に言われるままにコントロールキーを押しながら、目次の項目をクリックした。Wordの画面が切り替わり、クリックした項目の見出しの部分が先頭に表示される。
「ぉおっ!?」
「こんな風に、目次の項目をクリックしたら、本文中のその見出しがあるところまで勝手に表示を切り替えてくれるようになるんですよ」
「へぇぇええええええええ!!」
しかもこの機能の便利なところって、この文書をpdfに変換しても、キチンとそのリンクを保持してくれるところなんだよね。
「だから、例えばこれを電子書籍として配布する時に、このリンク付き目次を作成しておけば、わざわざページをめくらなくても、そのページにジャンプしてくれるようになるんです」
「これはイイ……」
「小説を書いてるのなら、pdfの形で電子書籍として配布する可能性もあるはずです。その時にこうやって作れば、少なくとも利用者にとって優しい電子書籍になるんじゃないかなと。本来の電子書籍がどういうものなのかは分かりませんが……」
「いや、こういうのを知りたかった。これは作る側としては便利な機能だと思うよ……!」
リンク付の目次の完成がよほど嬉しかったのか、岸田さんはほくほく顔で目次をクリックしては該当部分へのジャンプを繰り返している。ホントにこれが電子書籍の作成の役に立つのかどうかは知らないが、本人が喜んでくれるという事実は、何より嬉しい。
動作確認をしたいのか、岸田さんは自作小説『殉教者の魔弾』をpdfとしてエクスポートし始めた。
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